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2006/07/30

俺はどうして犬に噛まれるのか?(2)

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青海省西寧タール寺で犬に噛まれてから、当然犬嫌いになってしまいました。日本でも、俺は犬がいるとよけて通るようになったし、絶対、犬に手を出したりしなくなりました。

公園でちっちゃい犬に驚いているところを見た、近くで遊んでいる幼稚園児から「このおじさん、怖がっているよ」と馬鹿にされても、じっと歯を食いしばり、「お前は、犬という動物の本質を分かっていない」と内心つぶやき、その侮辱に耐えました。

中国四川省の九塞溝に行ったついでに、その先のルールガイ(ゾルゲ)という草原の町まで足を伸ばしたときのことです。郊外の草原はチベット族の夏の放牧地になっていて、いくつもの天幕住居が点在し、ウマやヒツジやヤクが放牧されていました。

たまたまその10日ほど前、成都のホテルでいっしょになった日本人旅行者から、チベット族の話を聞いていましたが、「犬には注意したほうがいいよ」と教えられていました。放牧地は犬がたくさんいるそうです。ただ彼は自信を持って言いました。「犬が吼えながら寄って来ても、じっと動かないでいれば噛み付いたりしません」と。

草原のチベット族の天幕住居を目指したとき、さっそく向こうから大型の犬が3匹やってきたときは、「これは写真のためだから」と自分に言い聞かせ、怖いと思う気持ちと闘いました。まさかタール寺の二の舞を演じることはないだろうと安心もしていました。「タール寺の犬は特殊だったのだ。また犬に噛まれるなんてことはないはずだ」

ところが、です。

3匹の犬は俺の前後を挟みうちにし、ワンワン吠え立てました。が、あの日本人の忠告を思い出しました。何もしなければ大丈夫だと。俺はその通りにしました。手を合わせ、天を仰ぎ、はやく退散してくれーッと祈るようなポーズで目をつぶって待ちました。

そのとき、右くるぶしに衝撃を感じたのです。なんと、後ろにいた犬が俺の右足のくるぶしに噛み付いたのです。俺はとっさにまたやられると思い、全身から血の気が引きました。そしてワーワーと騒いでしまったのです。それでますます犬たちは獰猛な牙をむいて威嚇しました。これはもう終わりだーッと思いました。

騒ぎを聞きつけて、近くの天幕住居から女の子が出てきました。女の子は、石をくくりつけた紐を持って、それを自分の頭上で回しながらやってきました。まるでヘリコプターの真似をしているようです。驚きました。自分の犬なのに、こんな自衛手段を取らないと、近づけないくらい獰猛な犬なのか? チベット犬、恐るべし。女の子は俺のところまで来て、ようやく犬を追い払ってくれました。

冷静になってくるぶしを見たら、だらーッと、よだれで鈍く光ってはいましたが、キャラバンシューズのくるぶしを噛んだだけで、幸い足にまでは達していませんでした。痛みもありませんでした。それでだんだん気持ちが落ち着いていきました。

それにしても、また噛まれてしまったというショックと、あの日本人の忠告が、嘘だったことに、妙に腹が立ちました。このとき、俺の頭にひらめいたのです。「俺は、犬に噛まれやすい性質なんではないか?」と。(つづく)


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