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2006/10/19

20年前の中国(1) 「ありがとう」がない

061019

まず、日本での話です。

飲食店ですね。よくあるのは。店を出るとき、「ありがとうございました!」と店員さんが言うと、まわりの店員全員も言いますね。まるで、ニワトリかカエルのようです。知ってますか? ニワトリもカエルも一羽(匹)鳴き始めると、次々に広がって大合唱になるんです。(「いらっしゃいませー!」もそうですね)

俺はそれを聞くと、いつも「あっ、またニワトリだ」と思うんです。そして「嬉しい」なんてことはもちろんないし、なんだかこそばゆく、特に、人のおごりで食べたり飲んだりしたあとは、後ろめたさに変わります。「ぜんぜん金払ってないのに、ありがとうはいらないよ。しかも全員で」と内心恥ずかしい思いをしてしまいます。

もちろん、店員は、マニュアルに沿って言っていることくらい、俺にもわかります。「蛍の光・・・」と同じ、単なる「さようなら」の意味のBGMなんでしょう。そして俺が自腹で食べたか、おごりで食べたかなんて、店員は知ったこっちゃないしね。もっとも「また人のおごりで来れればいいですね。待ってます」なんて本音を言われるのも嫌ですが。

昔、中国へ行き始めたころ、1980年代の中ごろですが、中国人に「謝謝(シェシェ。ありがとう)」という言葉はないんだなと思いました。当時は、文化大革命が終わったものの、その荒廃した社会の余韻が残っていた時期で、社会主義的な国営商店へ行っても、食堂へいっても、まず日本的なサービスは期待できず、店で「ありがとうございました」など、言われることは皆無でした。

それどころか、商店では、目の前の商品(爪切り)を指さして「これ、ください」と言っても、店員はなぜか「没有(メイヨウ。ありません)」と言って売ってくれなかったこともあります。目の前の物が「ない」という。存在するものが、存在しないと店員の娘はのたまうのです。まるで禅問答しているようですが、真面目な顔で言うのです。(まぁ、これはあとでわかったことですが、「自分の担当ではない」「めんどうくさい」「今は休み時間だ」といった理由さえ、めんどうなので、一括して「没有」と言って済ませていたようです)

また、甘粛省のある食堂(餃子店)へ入ったときは「何しに来た?」と言われるしまつでした。何しに来たはないよな、食堂なんだから、食事にきまってるだろうが、と内心憮然としましたが、俺は大人なので、冷静に「食べるものはありますか?」と聞くと、店員たちは自分たちの食事をじゃまされて不機嫌になり、「俺たちが食っているんだから、待ってろ」と言って、餃子を食ってましたっけ。俺は店員の食事が終わるのを30分おとなしく待ってました。(大げさに言っているのではないですよ。ほんとにそんな時代だったんです) 「ありがとう」なんて言われる環境ではありませんでした。むしろ、客が「食べさせてくれて、ありがとう」と言わなければならないくらいでした。

ところが現在、店に入ると中国人も「いらっしゃいませ」と言うし、店から出るとき「ありがとうございました」とか「またどうぞ」と言うようになったのです。中国人もニワトリのように、意味のないBGMを大合唱するようになりました。変われば変わるもんだ。

これは日本的接客方法が真似られたんでしょうか? それとも、市場経済という仕組みが、同じような行動を取るように人間を仕向けるのでしょうか? 俺には、80年代の強烈な体験がトラウマになっているらしく、感謝の言葉を聞いたりすると、「きっと、裏があるにちがいない」「ボラれたかもしれない」と、つい思ってしまうのです。悲しいことですが。

世界の常識が通用しない独特の個性を持っていた中国人が、今や経済発展を自慢し、お客に「ありがとう」を連発する「普通の」人間になってしまい、俺は正直、寂しさも覚えています。

Ya_220年前の中国(2) 犯罪者、喧嘩・・・




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