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2016/11/05

【愛犬物語百景 其の五十四】 大阪府堺市 樺太犬の慰霊碑

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大阪府堺市の海に近い大浜公園を訪ねました。めちゃくちゃ暑い日でした。

堺旧港南波止場には日本最古の木造洋式灯台である「旧堺燈台」があります。明治10年に築造された高さ11.3mの六角錘形の白亜の灯台です。国指定史跡になっています。

またこの公園には、「樺太犬の慰霊碑」があります。

「南極物語」について簡単に説明すると、

昭和33年2月、初代南極観測船「宗谷」が流氷に阻まれて、動きが取れなくなりそうになり、ヘリで、昭和基地の隊員を救出することになりました。この時点では、すぐに第二次観測隊が来ることになっていたので、昭和基地にいた犬係の北村泰一さんは、犬ぞり用の樺太犬15頭の首輪をきつく締め、鎖につなぎ直しました。

でも悪天候によって、交替の第二次観測隊は来ないことが決定。残された犬について、隊員は、連れてこれないなら、いっそ殺しに行かせてほしいと頼みましたが、事態は深刻で、それもかないませんでした。北村さんたちは泣く泣く犬を置き去りにせざるをえなかったのです。

日本に帰った彼らは、「なぜ犬を見殺しにしたのか!」と大バッシングを受けます。北村さんも自責の念にかられて精神的にも肉体的にもかなり参ったといいます。

「樺太犬の慰霊碑」は、このとき南極に置き去りにされた犬たちを慰霊するために建てられたものです。

15頭の群像ですが、第一印象は、悲しい群像だなと思いました。とくに後姿には悲しさがあふれています。説明書きを読んでなるほどと思いましたが。

昭和33年に設置されたときに埋め込まれたプレートには、

「昭和三十二年二月十五日より昭和三十三年二月十一日まで南極観測隊 第一次越冬隊に協力した樺太犬の霊の為に 昭和三十三年七月六日 第一次越冬隊 隊長 西堀榮三郎」

そして、コンクリート像から、現在のこのブロンズ像に作り代えられたのが昭和62年のことです。

「このカラフト犬慰霊像は昭和33年7月に南極地域観測隊の第一次越冬隊(S 32.2.15~S 33.2.11)に協力した15頭のカラフト犬の霊を慰めるため堺市在住の獣医で彫刻家岩田千虎氏が別れを惜しみながら立去って行く越冬隊員に向かって遠吠えを続けている姿をコンクリートの像に仕上げ 市に寄贈され 当時水族館の南側遊園地に設置されたものですが 像の風化が著しくなったので このたび原型像に忠実にブロンズの像に復元制作したものです 昭和62年3月31日 堺市公園部」

犬たちの姿は「別れを惜しみながら立去って行く越冬隊員に向かって遠吠えを続けている姿」なのですね。だから悲しいのです。

昭和33年7月ということは、第3次南極観測隊がタロ、ジロと再会するのは昭和34年なので、まだタロ、ジロが生きていることはわからなかった時です。だから、全頭亡くなったと思って、この慰霊碑は作られたのです。「どうして犬たちを置き去りにしたんだ?!」と、日本中から大バッシングを受けていた、その抗議の嵐の真っただ中で建てられた慰霊碑であったようです。

そういえば、慰霊碑の除幕式の時、犬係のひとりであった菊池徹さんが、犬たちの名前を1頭づつ読み上げていったとき、最後の2頭だけは、どうしても名前が思い出せなかった、その2頭がタロとジロだったというエピソードがありますが、もしかしたら、この慰霊碑のことだったのではないでしょうか。

と、思って調べてみました。するとやはりこの慰霊碑の除幕式での出来事だったようです。

この除幕式に参列した第1次越冬隊員は、西堀栄三郎氏、菊池徹氏、藤井恒男氏の3名だったとのことです。

菊池さんは13頭の犬の名前を読み上げましたが、突然絶句してしまいました。どうしてもあと2頭の名前がでなかったのです。それで「やすらかに眠れ」と結んだそうです。

このエピソードは、心理学の教材にもなっているという話は以前書きました。

フロイト的に解釈すると、菊池さんは犬係として15頭の犬たちの微妙な違いを意識的にも、無意識的にも把握していて、「特別生命力が強かったタロ、ジロが死ぬはずがない」という気持ちが、名前を忘れさせた(名前を言いたくなかった)ということのようです。

また同じ犬係であった北村さんが見たのは南極大陸を走っている2頭の樺太犬の夢で、それは翌年正夢になったわけです。

両方とも不思議な話です。それだけ菊池さんや北村さんの犬たちに対する愛情の深さを表すエピソードでもあるし、追い詰められた人間心理のエピソードでもあると思います。

ところで、現在では生態系保護のため、南極には、外来の生物(犬など)を持ち込むことはできないそうです。
 
 
 
 
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