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2018/01/30

【愛犬物語 其の二百二十五】 静岡県藤枝市 鬼岩寺の黒犬神社

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静岡県藤枝市の鬼岩寺を訪ねた。寺の境内に黒犬神社が鎮座する。遠州春埜山から遣わされた神犬(狼犬)「クロ」を祀った神社で、犬そのものを祀っている神社は珍しい。

クロの話は今から230年ほど前の出来事だ。鬼岩寺のリーフレットから引用すると、

「昔、鬼岩寺にはクロという強くて評判の犬がいました。その噂を田中城の殿様が聞きつけ、自分の犬と闘犬をさせたいと申し出ました。
 住職は「闘犬なら負ければかみ殺される。勝っても面子をつぶしたとして手打ちにされる」と思い、勘弁してほしいと頼みましたが、聞き入れてはもらえません。
 結果は、クロの完勝でした。白犬が負けると殿様は怒り出しました。「このにっくき黒犬め」と刀を抜いて切りつけたので、クロは裏山に逃げ込みました。
 翌日から山がりがはじまり、ある日の夕方、クロが姿を現しました。「捕えろ」と殿様が叫ぶと、逃げ出して井戸に飛び込みました。すると、井戸からは黒煙がわきたち、黒煙の中から何万匹もの黒犬が現れて、殿様たちに吠えたてたのです。さすがの殿様も負けを認め、自分のわがままを悔改めました。後に村人たちは、クロの霊をまつり神社を建てました。」

神社前の解説看板にもうひとつの伝説が書いてある。

「土佐守は東海道一と恐れられているクロと、自分の土佐犬をぜひ勝負させたいと、参勤交代を楽しみにしていました。噛み合いになる直前に、遠州の春野からたくさんの犬たちが、クロを助けようと、鬼岩寺に集まって吠えたてたので、土佐守の土佐犬は、しょんぼりしてしまって、闘いにならなかったということです。」

「神犬クロの≪死して尚負けず≫のご利益を!」ともある。

住職によると古老たちがこのような話しをしていたそうだ。

鬼岩寺の周りは三方山に囲まれていて、クロが本家(春埜山大光寺)に戻っていろんな犬を連れてきて、ここを取り囲むように周りの山に布陣したという。「黒煙がわきたち、黒煙の中から何万匹もの黒犬が現れて」「遠州の春野からたくさんの犬たちが、クロを助けようと、鬼岩寺に集まって吠えたてた」という部分だろうか。

お宮の左側に黒犬の霊を祀った供養塔が屋根掛けして安置されている。これは田中城主が自ら建てたものだ。文字などは見えない。

昔、この供養塔は、クロが飛び込んだという井戸の傍にあった。大正時代のころだろうか、小学校の分校ができるとき、供養塔は鬼岩寺に移した。その後分校跡に生涯学習センターが作られた時、正門近くの井戸も埋められて、今では何の痕跡もなくなってしまった。

住職は、井戸を何とか残してもらおうとしたが叶わず、井戸が埋められた時、工事の人に頼んで、赤土をもらってきて黒犬像の下に置いた。

お宮の中には信者が寄進したたくさんの縫いぐるみが置いてある。信者は願いごとがあると、好きないぬいぐるみを自由に借りていって、願いが成就したら、それともう一体寄進する習わしだという。だからぬいぐるみは増える一方だ。

ところで、借りたものと他にもう一体、合計2体返すというと、恵那市の中山神社の土製のお犬さま像の場合もそうだった。

黒犬神社の、このお宮は2代目で、40年ほど前に建て替えられたものだ。黒犬像が寄進されたので、お宮の中に安置してあった供養塔を表に出して、黒犬像を置いた。

しかし、この黒犬像はまるで熊像のようだ。というのも、信者が北海道で作ってもらって寄進したものだそうで、熊の一刀彫のような感じなのだ。そのものと言ってもいい。熊を彫っている職人、あるいは、作家なのではないだろうか。住職は、お札のお犬さまををイメージしていたそうだが。これをお宮に置いて、供養塔は外に出した。だからこの黒犬像がご神体ということではない。

ところで、12年前の戌年の時とは違い、2018年の今回の戌年の正月には、バスで団体参拝者が来るほど賑わったという。犬にゆかりの場所を訪ねる参拝者だったらしい。彼らは、磐田市のしっぺい太郎伝説が伝わる見付天神を参拝したあと、ここに来たと言ったそうだ。他にも多くの犬連れ参拝者も来るようになった。

黒犬神社のお犬さまのお札をいただいた。昔から伝わる版木から手刷りしたものだ。

神犬はここでも「お犬さま」と呼んでいて、お札に刷られている姿は春埜山大光寺のお犬さまと似ている。大光寺は、標高883mの春埜山頂上近くに鎮座する神仏混淆の名残をそのまま残した寺で、お犬さま(狼)信仰の寺として知られる。

住職によると、黒犬神社の伝説は大光寺とつながるものだと思われるが、大光寺では黒犬神社との関係を示す話なども伝わっていないそうで、伝説の関係は不明だとのこと。
 
 
 
 
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