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2019/05/15

【犬狼物語 其の三百二十五】千葉県印西市 山根不動尊の「唐犬濱之墓」

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印西市には、以前から気になっていた犬像がありました。墓石に刻まれたレリーフの犬像です。

『犬像をたずね歩く』にも入れようかなと思ったくらいの犬像だったのですが、どうも由来がわからないらしいということで、見送ってしまいました。

成田線・木下(きおろし)駅から、住所を頼りに山根不動尊を探しましたが、車道からは見逃して行き過ぎてしまいました。

50mほど先に三本足の珍しい「貝化石灯篭」というものがあって、資料館のような建物もあり、そこにいた人に不動尊のことを聞いたら、親切にも案内してくれるという。

住宅の裏側がちょっとした公園になっていました。車道からは見えづらいですね。不動尊の境内は公園に隣接していました。案内してくれた人によると、確かにここに不動尊のお堂がありましたが、何年か前、火事でなくなってしまったそうです。礎石だけ残されていました。

「ここに、犬の墓があるはずなんですが」と言うと、その人は「知りませんでしたねぇ」といいました。

墓石は、左奥の古碑が並んでいるところにありました。本堂がなくなっているので、かえって墓石は探しやすかったといえるかもしれません。

高さが60cmくらいの墓石に「濱」の姿が浮き彫りにされています。顔は正面、体は左を向いてお座りし、左前足を上げた姿勢で、お地蔵さまのようによだれかけを着けています。かなり彫は深いので、曇っていても見やすい浮彫です。

そして「濱」の姿の右上には、「唐犬濱之墓」(最後の文字、「土」へんに「莫」という文字になっています)、墓石の右側面には、「明治十三歳二月七日没」とありました。

どんな飼い主であったかはわかりませんが、こんな立派な墓を建ててもらえるというのは、「濱」は大切に飼われていたんだろうなと想像します。

「唐犬」の墓と言えば、『全国の犬像をめぐる』で取り上げた東京都墨田区・回向院にあった「唐犬八之塚」ですね。こちらは1866(慶応二)年の墓碑で、飼主が火消し「は」組の新吉であったことがわかっています。

以前、印西市の市役所で、「濱」の墓について聞いたことがありました。でも、調べてもらったら、墓碑は市の文化財にもなっていないし、「濱」という犬のことはもちろん、由来や言い伝えなどはいっさいわからないということでした。存在自体把握されていなったので、当然といえば当然なんですが。

「もしかしたら、地区の古老が知っているかもしれません」と言われました。そうですね、探せばいるかもしれません。「そのうち」などと言っていると、関係者がいなくなってしまって、せっかく名前もはっきりわかっている犬「濱」も完全に歴史に埋もれて忘れ去られてしまうでしょうが、時間が足りないのでしかたありません。だれか、興味を持った人がいれば、ぜひ調べてみてください。

そして境内にも、石灯篭がありました。それは資料館にもあった、このあたりに特有の「木下貝層」で造った石灯篭「貝化石灯篭」と呼ばれるものです。「木下貝層」は、東京湾で堆積した貝の化石で、このあたりでは、石材として使用していたそうです。

 

 

 

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