【犬狼物語 其の六百六十九】 福井県鯖江市のニホンオオカミの頭骨
https://www.fnn.jp/articles/-/524622
今年3月にニュースになった 福井県鯖江市の民家から見つかったオオカミの頭骨は、現在福井市自然史博物館で公開中です。
この頭骨は、先祖代々ニホンオオカミのものと伝わってきた頭骨で、1600年ころのものと言われています。当時、病人の枕元に置いて魔除けとしたり、治癒を祈って貸し出したりしていたと伝えらえてきたそうで、これも狼信仰に関係する頭骨のようです。
あらためて、この1600年という年代が気になったので調べてみました。
以前紹介した徳島県美馬市で見つかっているオオカミの頭骨は、文明4年(1472)、当時犬神使いが跋扈し、人々を惑わしていたので、阿波国内の犬神使いを捜し出し処罰するようにという命令書「犬神文書」といっしょに見つかったものです。オオカミの頭骨がこの古文書と同じ時代のものかはわかりませんが、犬神に関する一番古い文書だそうです。
また、東日本で、憑き物落しのためのオオカミの頭骨保有の 風習が増加するのは幕末から明治初期にかけてです。ただその前から風習はあったようで、古いものでは秩父市の永禄年間(1558-69)、神奈川県裾野市の元文2年(1537)、長野県天龍村の応永年間以前(1394-1427)の頭骨などがあります。
福井市自然史博物館で公開中の頭骨の1600年という年代が本当なら、狼信仰としての頭骨としては、古いもののひとつ、ということになるようです。
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