フランスでアルバイト 4
二日間だけでしたが、葡萄摘みの仕事もやれたし、そろそろ日本に帰ろうかなと思い、2週間後の日本行きを予約しました。
Oさんたちともペルピニャンで別れ、帰国便はフランスのパリからだったので、この2週間で最後の旅をしようと、南仏からスイス、ドイツ、オランダ、ベルギーをヒッチハイクで旅しながらパリに戻りました。そろそろ秋の気配も深まり、公園のイチョウの木は黄色く色付き始めていました。
さて、飛行機はあさって飛ぶという日の午後、たまたまサンジェルマンを歩いていたら、なんと、葡萄摘みでいっしょだった日本人のOさんが、カフェにいたんです。2週間ぶりでなつかしく、あいさつに行きました。「あさってもう帰るんですよ」というと、彼は「もう帰っちゃうの?パリで仕事すればいいのに」と言うのです。「でも仕事探しは難しいでしょう?」と言うと「俺が知っている店に行ってみるかい?」と、魔のささやきが聞こえてきました。
俺は、とにかく店を当たってみるだけでも面白いし、もし使ってくれるなら働いてみようと決心しました。Oさんの「こんな体験はめったにないでしょう」という一言が効いたかもしれません。そうなんです。ヨーロッパに旅行に来たのは観光のためではないことはもう自分でもわかっていたし、もうすこし、外国で働いてみたいという欲が芽生えてきたのでした。
まあ、でも、葡萄摘みの一件もあるし、フランス語もわからない俺が簡単に仕事に就けるはずもないし、だめだったら、このまま日本に帰ろうと思いました。
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