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2005/08/09

原爆を落とされた国民

イランへいったとき、よく「ヒロシマ、ナガサキ」のことが話題に出ました。俺から触れたわけではありません。イラン人の方から原爆の話をしてくるんです。そして、一様に、原爆を落とされた側の人間(つまり俺、日本人)なんだから、落とした側のアメリカは当然嫌いだろう、という感じで「反米」への同意を求める雰囲気がありました。

「原爆が落とされた」という理由で、「アメリカが嫌いだ」という日本人は、広島、長崎で実際被爆された人たちやその家族たち、それから沖縄の人たちを除いて、ほとんどいないんではないでしょうか? 俺は、こういう日本人の事情をイラン人の前では言えませんでした。なぜか恥ずかしかったからです。原爆でたくさんの人間が殺されたんだから、怒って当然だ、というのが世界の常識でしょう。戦争をしかけた方、負けた方は、一般の市民が無残に殺されても、怒るのは筋違いだとでも言うんでしょうか?それはあんまりでしょう。

「原爆を落とされて、戦争が速く終わって良かった」とか言う日本人までいるんだから、ますますイラン人には、こんな国民は理解できないかもしれません。日本人は、ほんとにアメリカによって、骨抜きにされてしまったのでしょうか。無批判にアメリカ文化を受け入れてしまう一部の日本人たち、恥ずかしいです。

この前、原爆関連の番組で、原爆の研究者だっけ?アメリカ人のおっさんが出ていました。広島の被爆者の前で、「私は正しかった。だから謝るつもりはない」というような発言があって、愕然としました。よくもそんなことが言えるもんだと。あらためて、傲慢なアメリカ人に腹が立ちました。

俺は今まで「反米」というほど強い考えを持ってはいませんでしたが、最近のアメリカを見ていると、だんだん嫌いになっていきます。ただ、悲しいかな、アメリカ文化を完全には拒否できない自分がいます。東京に出ると、ついついマックで、ハンバーガーを食べてしまうんです。俺も恥ずかしい日本人のひとりです。

「反米」といいながら、なかなかアメリカを拒否できない複雑な感情は、イラン人といっしょかもしれません。どうすりゃいいんでしょう。

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