「ニート」の続き
昨日「ニート」のことを書いて、思い出したことがあります。
今からちょうど10年くらいまえ前です。1年間ほど、やる気をなくして苦しんでいた (そう深刻でもなかったけど。いや、いや、今だからそう思うのかな。やっぱり当時は深刻だったかも) ときがあるんですが、そのとき「なにかやらなければ」と思うから苦しくなるんだったら、「何もやらない」と決めて過ごそうとしたことがありました。
そこで、日本では知人友人から電話があったり、わずらわしいので(仕事はほとんど無くなってしまったので、仕事関係は問題ありませんでした)、とりあえず、どこか外国でじっとしていようと思いました。それで滞在を決めたのが、タイのノンカイでした。
どうしてここにしたかというと、その2年ほど前、「メコン河」の写真集の撮影のため訪ねたとき、対岸がラオスで、メコン川に面したゲストハウスがあり、のんびりしていて気に入ってしまい、ゆっくりするならこんなところがいいなと思ったのでした。物価も安く、1日800円もあれば暮らせるところでした。
どうせ行くなら、カメラは置いていこうと決心しました。カメラをまったく持たないで外国へ出たのは初めてのことでした。
実は、そうやってカメラを持たないで、なにもやらずにいたら、きっと、いらいらしてきて、逆に写真が撮りたくなるのではないかと、ひそかに期待もしていたのです。
ところが、です。20日間ほど同じゲストハウスに泊まり、食事以外はほとんど外出もせず、毎日ぶらぶらしていたのですが、いっこうに写真が撮りたくならないんです。この荒療治で写真を撮る意欲を取り戻すという目的は果たせなかったのでした。
それで俺は悟りましたね。俺は、写真を撮らなくても平気な人間なんだ、何もやらなくても平気な人間なんだと。
まあ、このあと、いろいろあって、ようやく写真が撮りたいと思うようになったのは、それから1、2年先になったのでした。
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