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2005/11/01

広島、牡蠣の養殖場

10月31日(月)晴れ

昨日は松山を通り越して、波方までいき、そこから竹原までフェリーに乗った。所要時間1時間半。竹原についたのは午後9時だったが、それから、広島の南にある能美の、牡蠣養殖場へ向かった。夜明け前から撮影するために、無理をしても能美についていたかったからだ。ちょっときついががんばって運転。能美に着いたが、ただ暗くてまわりがさっぱり見えないので、適当な場所で車を止めて寝た。

そして今朝6時に動き出した。だんだんと明るくなっていく海。海岸沿いにも筏があるのがわかった。筏の下に牡蠣がぶら下がっている。これが牡蠣の養殖か。船がいくつか、筏の脇に止めて作業をしている。見ていると、クレーンで牡蠣を引き上げ、船に積んでいくのがわかった。高さ10メートル以上はあるだろう。そして大きな鋏のようなもので、牡蠣を落としていく。この作業は、明け方が多いという。
kaki

湾を俯瞰できるところを探しながら、車を走らせる。写真を撮っていると、おばさんから話しかけられた。埼玉から来たといったらびっくりしていたが、「あそこに行ったらええですよ」と勧められたのは、「宮島」。(厳島のことらしいが) 上からの展望は抜群らしい。ただ船で行かなければならない島なので、今回はやめた。その宮島の形は、ここから見ると、女性が横たわっているようなシルエットで、おばさんは「ここは女神の島です」という。伝説では、仲のいいカップルが行くと、分かれてしまったり、子供を持った親が行くと、子供と別れることになったりと、「たたり」があったらしい。昔の話だろう。おばさんの話し、あまり聞き取れなかったので、どうして女神が棲む島へ渡ると、「不幸」になるのかよくわからなかったが、なんとなく、そんな伝説があってもおかしくないような雰囲気ではある。

1ヶ月ほど前、「ビレッジ」という映画を見た。(※まだ映画を観てなくて、これから観ようと思っている人は、ここは読まないでください。ストーリーを書いていますので) 村の周囲にある森には魔物が棲むと教えられていたが、実は、理想郷を作ろうとした長老たちが世界から隔離された村を作り上げ、若者に外の世界を見せたくないために、その結界である森に魔物がいて、入ったら殺されるという伝説を作り上げていたのだった。この映画、賛否両論あるようだが、俺は面白かったよ。

この「宮島」の伝説も、ここに住む人たちを何かの理由で行かせない大人の知恵だったのかもしれない。カップルが行くと、逆に快楽の島だったりして。もちろん昔の話だけどね。今は情報がすぐに伝わってしまうので、誰も信じないだろうから。

能美からさらに南下し、倉橋の段々畑に寄ってみることにした。島の南端まで行くと、橋が架かっていて、それを渡ると鹿島。集落がいくつかあり、段々畑もあった。一番奥の集落は、なかなか赴きがあった。小さい漁港と、民家と、段々畑。村自体も狭い路地が入り組んでいて、干物などが干されている静かな漁村。ラジオからはNHKの国際放送の中国語ニュースが流れていたので、まるでここが日本ではなくて中国の漁村のような気がしてきた。
himono

写真を撮っていると「いいのが撮れました?」と、男に声をかけられた。この段々畑も、やる人がいなくなって、荒れてきているらしい。石垣が崩れたところも、そのままになっていたりする。昨日、愛媛県西海の石垣の里でもおじさんが言っていた。あそこも、たくさんあった畑がなくなって、森に戻っている。必要なくなれば、消えていく。それもひとつの運命。人が使ってこその景観だ、俺が興味を持っているのは。記念物でもなく、歴史的文化財でもなく、大自然でもない、実際、人が今でもかかわっている景観だ。人が生活で作り上げてきた景観。それが結果として美しいところになっている。それが面白い。そして、日本には、そういうのがまだまだたくさんある。ニッポン、ニッポン人て、こういうところ、こういう人たちなんだなと、漠然とだけれど、わかってくる。

鹿島をあとにして、途中のみかん畑の前にあった販売所でみかん(上野という品種らしい)15個くらい入って300円で買った。おばあさんは3個おまけしてくれた。呉市に戻り、国道375号線で中国山地を北上。三次までは車も少なく走りやすい道路。赤や黄に色付はじめた森と集落が美しい。三次から国道56号で出雲を目指す。

さすがに昨日、今日は強行軍だったので、出雲では国民宿舎「国引荘」に泊まることにする。

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コメント

コメントありがとうございました。
能美、倉橋、あのあたり、よかったですね。私は生まれが内陸なもので、海が見える風景にあこがれます。

今回は駆け足の旅だったので、今度はゆっくりしたいと思います。棚田にも寄りたいと思います。

投稿: あおやぎ | 2005/11/13 19:34

 実家が呉市にあり母の介護で時々帰ります。倉橋島は子供のころの遊び場で、懐かしく拝見しました。
 古い記事ですが下記サイトにも記載しています。
http://3.csx.jp/tanada/html/tanada/tanada_BN6.html#kasima
周辺には整備された棚田も多くあり、また今の時期は美味しい牡蠣を食べるのが何よりの楽しみです。

投稿: 棚田へようこそ | 2005/11/11 12:30

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