マダガスカルの旅(11) マダガスカルの料理と食品
今日は、マダガスカルで食べた料理、食品について書きます。
マダガスカルのヴィザは、東京にある大使館へ直接いって取りました。そのとき、職員から、マダガスカルの伝統的な料理について教えてもらいました。「トロンドロガシ」と「ルマザヴァ」というものがあるとのこと。
さて、その料理ですが、まず「トロンドロガシ」とは魚料理です。トマト、タマネギ、塩を使って淡水魚(鯉)の煮たものですが、すごくシンプルな料理です。淡水魚のことを「トロンドロ」といいます。田んぼの中にも住んでいます。これをおかずにして大量のご飯を食べるわけです。
マダガスカルの一般的な食堂のことを「Hotelyホテリー」といいますが、アンチラベのホテリーで食べたとき、値段は1600アリアリでした。もちろんご飯付です。それと「ラーヌ・ブラ」というお湯が出てきます。「ラーヌ・ブラ」を直訳すると「黄金の水」ですが、これはご飯を炊いた鍋にこびりついたおこげを洗ったお湯(だから、スープと言えるかどうか)だそうです。薄いほうじ茶のような味がします。
昔、中国西域(シルクロード)をロバ車で旅行していたとき(このときの話はいずれしたいと思いますが)、途中で泊めてもらった道路工事のキャンプで食事をご馳走になり、そのとき、「スープいるか?」と聞かれて「いりません」と答えたとき「どうせ洗うんだから」と言われたのでした。つまりわざわざスープを作るのではなくて、料理を作ったあと、中華鍋をきれいにするためにお湯で洗うわけですが、そのお湯がそのままスープになるというものでした。一石二鳥というんでしょうか。少ない貴重な水を、節約する方法として感心したものです。
事情は中華料理とは違うかもしれません。西域では水が貴重だという理由でしたが、マダガスカルでは水よりもご飯(おこげ)でしょう。貴重な食料を無駄にしないという「意気込み」は感じられます。もっと言えば、貧しいところだからこそ、その習慣が「ラーヌ・ブラ」を生み出したのかもしれません。「トロンドロガシ」自体、凝った料理ではなくて、質素さを感じさせるものでした。
もうひとつ、大使館で教えてもらった「ルマザヴァ」ですが、こちらは煮込み料理(具の多いスープ)です。「ブレッド」という名の青菜、小タマネギ、ゼブ牛とトリの肉片が入り、トマト味です。ご飯付で2000アリアリ。味噌汁のようなコクもあり、それなりにおいしいものでした。
あとマダガスカル人から、伝統的な料理として「ラビトト」のことを聞きましたが、この「ラビトト」については、「ある農家の話」ですでに書いたので、ここでは省きます。
コメを使った料理(食品)については「ムルンダヴァの朝食」でも書きましたが、「クバ」についてもう一度。「クバ」は、首都アンタナナリヴや、アンチラベの町角でも見かけました。直径10cmほどのバナナの葉に包まれた三角柱状のものを輪切りにして売っています。100アリアリを出すと、幅5mmくらいの薄さにナイフで切って出してくれます。コメ粉、ピーナツ、砂糖(蜂蜜)が材料です。それほど甘くもなく、おいしい食べ物です。
マダガスカルに着いた初日、アンタナナリヴの街を歩いていると、この「クバ」売りがいたのですが、さすがの俺も、なんだろう?と敬遠していました。サラミのようにも見えました。でも、これがコメ食品だとわかって、ぜひ食べてみたいと思うようになりました。先入観はよくありません。食べてみたら、けっこうおいしいのです。
また屋台では「ネム」と呼ばれる揚げ春巻きや、さつま揚げふうの食品もおいしかったです。
マダガスカルは、ゼブ牛肉がたくさん消費されています。飼われているゼブ牛は、人口よりも多いそうです。そのためか肉の中で一番安いのもこのゼブ牛です。俺は旅の期間中、何度もゼブ牛料理を食べました。ゼブ牛のカレーふう煮込み料理、タン(舌)の煮込み。ステーキもうまかったですね。意外とやわらかくて癖もありません。
ゼブ牛の「ソシシ(ソーセージ)」「キトーザ(味付けした肉片)」も一般的です。お粥「バリスス」を食べるときは、この「ソシシ」や「キトーザ」などもいっしょに頼みます。「ソシシ」はゼブ牛肉ミンチと血をいっしょに詰めたものらしく、血の味がしてちょっと癖があります。日本人には好き嫌いが分かれるかもしれません。
ところで余談になりますが、この背に瘤があるゼブ牛、けっこう気性が荒いのか、下手に近づいたりすると、突進してくるときもあるので注意しないといけません。マダガスカルの人間は優しいのに、牛は怖い。アジアを旅していて、牛や水牛に突進された経験はないので、ゼブ牛はやっぱり特別なのかもしれません。
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