「写真」と「音楽」 手作り音楽CD第三弾完成
手作り音楽CD「ASIAGE MARCH」が完成しました。インディーズCDの第3弾です。
5人の架空の人格が、'95に音楽ユニットを結成しました。メンバーは次の通りです。
Mastukane Shun (日本)
Goi Cuon (ベトナム)
Bawsuk (タイ)
Mi Xian (中国)
Nasi Goreng (インドネシア)
その架空ユニット名が「ASIAGE」です。「アジャージ」と発音してください。「ASIA」と「AGE」をくっつけた造語です。アジア各地で俺が録音してきた音と、パソコンで作った曲をミックスしたもので、アジアをイメージした曲集です 。
実は高校、大学時代、ちょっとだけ音楽をやっていました。ブラスバンドとロックバンドです。いずれもパーカッション、ドラムと、リズム担当です。だからリズムについてはある程度知識がありました。
ただ、バンドを組んでもしっくりいかず、人といっしょにやることがあまり得意ではないなと気が付きました。当時からグループ行動がだめだったんですね。でも、ひとりで音楽をやる方法があることを知りました。
ギター、ベース、ドラムなどをひとりで録音してひとつの曲にすることを「多重録音」と言っていましたが、本格的にやろうとすると、大きな4チャンネル、8チャンネルトラックのテープデッキが必要でした。でもそれを買うだけのお金はなかったので、一番簡単にやれるカセットデッキをふたつ使ってやる多重録音にトライしました。
一方のカセットデッキにドラムの音を録音し、それを再生しながら、ミキサーを通してギターの音といっしょにもう一方のカセットデッキに録音するのです。次にそれをまた再生しながら、次の楽器の音をミキサーを通して入れていく。こんなやり方を「ピンポン録音」といっていました。理論的には、これで何十人分の楽器を多重録音できそうですが、そうは問屋がおろしません。テープ再生の時のノイズがだんだん増幅していくので、ぎりぎり4回くらいしかできませんでした。
その音質はお世辞にも良いとはいえなくて、だんだん音楽に対する熱も冷めていきました。そしてちょうど外国に興味が出た時期でもあって、旅に出るようになってから、音楽は聴くだけになっていきました。
1994年「メコン河」の写真集を出すことになり、そのデザインをしてくれるデザイナーが、パソコンでレイアウトをしているのを知りました。デザイン業界もデジタル化が始まっている時期でした。なんどかそのデザイナーの所に行くようになりましたが、そのとき彼からこんな言葉を聞いたのでした。「最近のパソコンは何でもできる、作曲もできるらしい」と。
それを聞いたとき、心の中で何かが、むくっ!と起き上がりました。それが音楽をまたやりたいと思うきっかけになったのです。さっそくデザイナーにアドバイスしてもらい、パソコン(Mac LC630)と音楽ソフト(ミュージ郎)、音源(Roland Sound Canvas)などを買いました。だから俺がパソコンを始めたきっかけは「写真(画像)」ではなくて「音楽」だったんです。
封印されたものが表に出たのでしょう、パソコンの曲作りに、一気にはまってしまいました。今まで15年来あきらめていたことが、こんなにも簡単に安くできてしまうことの驚き。すぐに何曲かできました。たまたま俺はドラムをやっていたので、リズムについてはある程度知識はありますが、和音についてはほとんど無知です。でも、パソコンでの作曲というのは、その無知を補ってくれます。特別俺が作曲の才能があるわけではありません。
「そうだ、メコン河の写真展では、これをBGMで流そう」と思い立ちました。それでASIAGEという架空のユニットを作ったのでした。
どうせ架空なら、メンバーも作ってしまえと思って、5人作りました。日本人の松金俊。初めて買ったパソコンは「Mac」でした。だからこの「まつきんとし」にしたのでした。「マッキントッシュ」にかけて。くだらない? そうですね、確かにくだらないね。「中年」なんで許してください。
ベトナム人のGoi Cuon(ゴイ・クォン)は、ベトナム料理「生春巻き」のこと。中国人のMi Xian(ミーシェン)は、雲南省など南部中国では一般的な米から作った麺のことです。インドネシア人のNasi Goreng (ナシゴレン)は、インドネシアの一般的な料理、チャーハンのナシゴレンのこと。そして、タイ人のBawsuk(バウスク)とは、俺の友人でタイによく行っていて、タイ語もできる絵描きの福井の、「福」と「井戸」をタイ語で言うとこうなります。
前に書いたようにもともとは、写真展「メコン河」のBGMとして作ったものでしたが、意外(?) にも評判が良かったので、いい気になって、その後も「棚田水景」などのアルバムを作ってしまいました。初めはテープでしたが、そのうちCDにしました。
写真集よりもこのCDの方がよく売れた写真展もありました。複雑な気持ちでしたが、でも、俺にとって、写真展の「音」は大切な要素であると考えているので、その写真展の一部である音が評価されるのは嬉しいことです。
一昨年の棚田のイベントでも、CDを販売していましたが、ある日、レジのおばさんから、俺に会いたいっていう人が来てると言われて会ってみたら、前日CDを買ってくれた女性のお客さんで、感動したので会いに来ましたと言われました。そこまで言われるとなんだか嘘っぽいのですが。でも嘘でも、そう言われると嫌な気はしません。まあ、これ以上言うと、自慢話になってしまうので、もうやめます。
もちろん、せいいっぱい作ってはいますが、あくまでも音楽は趣味であって、自分のレベルはある程度知っているつもりです。でもこれも写真と同じなんですかねえ。ひとりでも「いい」と言ってくれる人がいれば、その「写真」や「曲」の存在する意味はあるのかもしれません。
よく、乗り物に乗っているときなど、エンジン音や周りの雑音をボーッと聴いていると、いつのまにかあるメロディやリズムになっていることがあります。「幻聴」とは違うと思います。このあたり、やっぱり写真を撮ることと似ているんですが、漫然とした周囲の風景からある「部分」を切り取って見せることが写真ですよね? 意外と人は同じ風景の中にいても、見ている「部分」が違います。それは「その人が、その風景をどの様に意識しているか」に関わってきます。人それぞれ意識の仕方、つまり見方の違いがあるので、そこに「個性」というものもできるわけです。
音楽の場合も、もちろんあくまでも俺の場合ですが、漫然とした周りの音から、ある音のかたまりを切り取ったら「曲」になった、という感じなのです。だから、「写真」と「音楽」とでは一見違うことをやっているようですが、俺の中では同じ心的作業にすぎません。
CDは、すべて手作りです。作曲はもちろんですが、ジャケットのデザインも自分でやりました。ぜひ、アジアの雰囲気に浸りたい人は聴いてみてください。音質をちょっとだけ下げていますが、1分間のサンプルソングを用意してあります。
気に入ってくれたら、ご購入お願いします。メールで受け付けています。
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