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2006/10/21

20年前の中国(3) 中国人と喧嘩ざんまい

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(写真は中国雲南省タイ族少年僧)

昨日、中国ではよく喧嘩を見たと書きましたが、実は俺もよく喧嘩をしていました。

一番したのは、中国へ行くようになって2年、3年めくらいです。なぜそうなのかというと、中途半端に中国語ができるようになったからです。当時は、俺たちのような東洋人は、中国の中ではまったく中国人と区別はつかなくて、中国人に見られることが多かったのです。

そして中国語を少し話すので、俺が「外国人だ」と言っても信用されないという状況になるのです。日本人とわかると、当時は(今は違いますが)手のひらを返したように態度が変わって友好的になり、喧嘩になどならなかった、そういう事情があります。だから喧嘩するというのは、中国人と対等に付き合えたともいえるんですが。

中国は知っての通り大きな国で、いろんな民族、いろんな言葉があるので、多少北京語が下手でも、どこか山から出てきた田舎の人間だろうくらいにしか思わないのです。じゃぁ、英語をしゃべったらどうかと言われるかもしれませんが、当時はまだそんなに外国人と接している中国人は多くなかったので、英語なんて聞いたことある人もいなくて、やっぱり地方の方言くらいにしか思わなかったという事情があるのです。

一番悲しかったのは、雲南省西双版納のタイ族村での出来事でした。

村の子どもたちや老人たちは、俺が日本人と知って関心を持ち、俺を囲んで話をしていました。いい雰囲気だったのです。

そこへ、30歳くらいの青年がやってきました。そして俺をうさんくさそうに眺めると「あんた、どこから来た?」と聞いたので、もうすでに、周りにいる老人子どもに話したように、「日本から来た」と答えました。すると、ますます疑いの目をして「嘘つくなよ」と言うのです。「嘘なんかついてないよ」と俺は少しムッとして答えました。「お前の言葉の訛りは上海人だろう?」「違う、俺は日本人だ」「いや、上海人だ。日本人が中国語しゃべるはずがない」「いや日本人だ」「いるんだよなぁ。お前のように外国人を語って、悪いことをやるやつが」「俺は日本人だ」

ふたりのやり取りを聞いていた周りの老人子どもたちも、だんだん笑顔が消えていき、ほんとはこの人、上海人じゃないんか?という疑いの目で見始めました。気まずい雰囲気が漂いました。それで、俺は最後の手段として、懐からパスポートを出して見せたのです。嘘つきと言われたくなかったからです。

ところがなんということでしょう。当時の俺のパスポートは赤い色で、それは中国共産党の旗の色でもあり、しかも、書いてある日本語や英語は、タイ族にはさっぱり読めないわけで、「やっぱり上海人じゃないか」と言った青年の言葉に、俺はとうとうキレてしまったのでした。

「俺は日本人だ! 嘘なんかついてない!」

そう叫んで、俺は泣きながら---それは嘘だけど、でも気持ちの中では泣いていた---村を出てしまったのでした。

そんなことがしょっちゅうあって、俺は特に駅員とかチケット売り場のおばさんとか、バスの運転手や車掌と喧嘩になることが多かったのです。根本的に、中国人、特に都市に住む漢民族とメンタリティの違いで喧嘩になることが多かったようです。理不尽なことや不当なことや誤解に対して怒るわけです。

ただ喧嘩も正々堂々とやれるので、俺としては、リフレッシュできるレクリエーションでもありました。(半分、楽しんでいたと言ってもいいかも) 日本ではなかなかできないですからね。俺は、人から悪く見られるのを恐れる人間なので、よほどのことでも、公の場所で怒鳴り声を上げて喧嘩をするなんてことはなかったし。

中国へ行き始めて5年、6年過ぎたころでしょうか、どうも、外国人とバレない方が楽だなと気がついて、俺はあまり自分から「外国人」「日本人」と言わなくなってきました。中国人にまぎれる快感を知ってしまったのです。「どこから?」と聞かれたら「どこだと思う?」と逆に聞き返しました。たいていは「広東?」「上海?」とか言ってくるので「まぁ、そんなとこだな」などと、答えをぼかしていました。

そのうち、ある日本人が言ったことを聞いて「なるほど、そういうものか」と納得したのですが、それからはあまり中国人に腹が立たなくなりました。それはこういう言葉でした。

「中国人を理解しようなどと思うな。そんな人たちなんだと受け入れろ」

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