20年前の中国(2) 犯罪者、喧嘩・・・
中国は、今の姿からは想像できないほど不思議な国でした。まぁ、中国人の名誉のために言っておくと、俺はこういう不思議さが嫌いではありませんでした。むしろ、そういうところも中国の魅力でもあったのです。昨日書いた「没有(メイヨウ)」と言う店員の応対などもそうです。
最近、というか、拉致被害者の問題がクローズアップされてから、北朝鮮の潜入ルポがたまに放映されます。
駅前で、ボロくずのように横たわる男、市場で物を拾って食べる子供たち、公開処刑などなど。それを見ていると、昔の中国を思い出します。80年代の半ばはこんな光景が中国でも見られました。そういう意味で、北朝鮮だけが特別の国だとは思えないんですよね。
公開処刑そのものは見たことはありませんが、トラックに乗せられた犯罪人が市中引き回しされているところとか、街の公安局の前に立たされた犯罪人は何度も見たことがあります。それも、当然と言えば当然なのですが、お祭りで人出があるときにやったりするんですよね。俺もその祭りを見るために街に泊まり、当日の朝、爽やかに目覚めて、さぁ、お祭りの写真を撮るぞーと意気込んでいるときに、このトラックの犯罪人を見ると、ちょっと暗い気持ちになってしまいました。
また、公安局の前に立たされた犯罪人は、数人が逃げられないように縄で縛られて一列に立たされているのですが、首からは、カードみたいな物を下げていました。さらし者ですね。
ちょっと日本ではお目にかからないし、ショックな場面だったので、見たいという気持ちと、見てはいけないという気持ちがあったのですが、素通りするふうを装って、ちゃっかりとカードだけは読みました。そこには自分の犯した罪名が書いてありました。「強姦犯」とか「経済犯」とか「強盗犯」とか。す、すごい人たちなんだぁ。
それと、喧嘩が多かった。街中でしょっちゅう喧嘩を見ました。だいたいは、口喧嘩なのですが、なかには取っ組み合いになることもあります。一番ひどい喧嘩を見たのは、雲南省の昆明で、こともあろうに、公安局のまん前でした。
女同士の喧嘩です。口喧嘩から取っ組み合いに発展していき、イヤリングを引きちぎったのです。耳からは血が出ました。まわりの人たちも大変だーと止めに入ったのですが、ふたりとも血だらけになってしまいました。そのとき、朝日が建物の間からふたりを照らしました。
そのとき俺が不謹慎にも思ったのは喧嘩のひどさではなくて、「血って、なんて美しい赤色なんだ」というものでした。女の耳から顎にかけて流れている血に朝日が当たってヌラヌラと輝いているんです。ゾクゾクっとしました。この美しい赤色が、今でも忘れられません。
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