ビルの窓拭きしながら英語をしゃべるコマーシャル (2)
昨日、パイロットのサインペン「ボードマスター」のコマーシャルについて書きました。
でも、ひっかかるところもあります。このコマーシャルは、最初「なんで、ビルの窓拭きの人がそんなに流暢に英語を話すの?」という疑問から、「なぁんだ、書かれた英語を読んでいただけだ」とわかり、安心するのです。つまり、窓拭きする人は、英語が流暢にしゃべれるはずがないという前提、というか思い込みがあるから成立するコマーシャルです。この意外性が面白いと思わせるのでしょう?
でも、これって、失礼かもね。俺がバイトしていた当時(今もそうでしょうが)、意外と英語をしゃべる人もいたんです。お金をためて外国を旅する人(俺もそうですが)、登山家、ミュージシャンや俳優や作家や漫画家のたまご。
中でもRさん(名前、忘れてしまいました)は、国際色豊かなJ大学を出ていて(在学中だったかな)、もちろん外国にも行っていたし英語はぺらぺら。お金のためにバイトしているわけではなくて、体を鍛えるためにバイトしていると言っていました。空手かなんか武術も得意だったと思います。かっこよかったですね。あこがれました。
でも、そういう人に限ってというか、天は二物を与えずというのか、ちょっと危ういところもある人でした。ある日、ビルの屋上に結びつけたはずだったロープが、ほんとは結び付けられていなくて、彼が、ブランコに乗って、ビルから降りようとしたとき、そのロープが外れて、落下してしまったのです。
もう一本の命綱を必死でつかんで助かりましたが、手は綱との摩擦でやけどをし、地面に着く直前ブランコが止まったので、その衝撃で腰を打って大きな怪我をしてしまいました。普通の人なら死んでいたような状況で助かったのは、日ごろから体を鍛えていたからだろうと、俺たちはうわさしていました。
結局、自分の不注意で招いた事故で、バイトは辞めてしまいました。当然ですよね。さすがのRさんも、もう怖くてできなかったんじゃないですかね。
何日かあと、病院に見舞いに行ったとき、Rさんは意外と元気でした。笑いながら話をしたことを覚えています。その病室にはRさんの彼女が来て世話をしていましたが、それがまた美しい人で、まったくRさんにはかなわないなと思ったのでした。
ビルの窓拭きの職場は、かなり個性的な人たちが多く、おもしろいところでした。いろんな人から刺激を受け、今、こうやって写真を撮るようになったのも、このバイトで出会った人たちの影響も間接的にあったのではないかなと思っています。
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