映画『ニューワールド』を観て
『ニューワールド』という映画をDVDで観ました。
17世紀に、イギリス人が「新大陸」アメリカに入植したときの話です。監督は『シン・レッド・ライン』を撮ったテレンス・マリックで、この映画は戦争映画でしたが、自然の美しさを静かに描写していた部分が好きでした。『ニューワールド』にも同じような美しさを感じました。
ところで、こういった異民族が遭遇する瞬間(ファーストコンタクト。この場合は、イギリス人と先住民族)に興味を持っているので、どんなコミュニケーションを取るのか、ファーストコンタクトをどんなふうに描くのかということに興味を持ちながら観ました。
映画のテーマは、イギリス人男性と先住民族女性との「愛」だったので、それほどファーストコンタクトに力を入れて描いてはいませんでしたが。
言葉もわからない人たちに対して、こちらが「敵意がない」ことを示すにはどうすればいいんでしょうか。やっぱり、ニコニコ笑顔を作り、物をあげるということなんでしょうね。
中国では、よくタバコを差し出されることがありました。(今はどうでしょうか。タバコを吸わない人も多くなったので、こういう習慣は廃れつつあるのかも) こちらから差し出すこともあります。これも「私はあなたに敵意はない」という表現が発展していって習慣化したもののひとつでしょう。タバコを自分で吸わない人も、タバコは持ち歩いていて、周りの人たちにあいさつ代りによくあげていましたね。
そういえば、雲南では、なるほど、こういうふうにして始まるんだぁと思わせる場面を目撃したことがあります。
それは、ある西双版納タイ族自治州の日曜マーケットでのことです。ハニ族のおばさんたちが、外人に追いかけられて逃げ回っていたのです。
なぜかというと、外人は彼女たちが被っている頭飾りや、身に着けている民族衣装が欲しくて、それらを指差して「ハウマッチ?(いくらで売る?)」と聞いていたのですが、今まで外人など見たことがなく、英語など聞いたことのないハニ族のおばさんたちは、どうしてあの白い鬼たちは私たちを追いかけるのか?と、怖くて逃げていたのでした。そもそも自分たちが身に付けているものを欲しがられるとは想像もできなかったでしょう。まさか自分たちが身に付けていたものが、お金になるとは。
ところが、それから1年経つか経たないかで、彼女たちは、外人が近づいてくる意味を完全に理解し、それどころか、彼女たちは、むしろ積極的に物を売るようになっていったのでした。今度は、外人が彼女たちから頭飾りや民族衣装を見せられて「ハウマッチ?(いくらで買う?)」と、しつこく追いかけられることになったのでした。そして彼女たちから民族衣装が消えていったのでした。
異民族間で、どうやって交易が始まっていくのかを見ているようで、妙な感動を覚えたものです。
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