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2007/03/01

ドキュメント72時間『バックパッカーたちの東京』

070301
(写真はバンコク・カオサン)

ドキュメント72時間 「バックパッカーたちの東京」というNHKの番組が、おとといの夜、再放送(再々放送?)されました。この番組のことを知ったのは、放映されたあとだったので、今回の再放送を楽しみにしていました。

東京山谷という日雇い労働者が住むところ。そこに集まってくる外国人バックパッカーたち。欧米系旅行者のバイブルとも言えるガイドブック「Lonely Planet」に、山谷のゲストハウスが載っているからだそうです。

思い出します。いろんな国の、外国人がたまっている安宿。山谷のゲストハウスは、タイあたりのゲストハウスと雰囲気がそっくりです。外国のゲストハウスに泊まったとき、表へ出ると、怪しいおっさんが声をかけてきたりしますが、山谷でも同じようなおっさんがやっぱりいるんですね。バックパッカーは、こんなおっさんと仲良くなります。

安宿は、その町の治安が悪かったり汚かったりする地域で、現地の人間でも、あまり近づかないようなところにあったりします。だから安いのですが。それで現地の人間は、びっくりするわけですね。どうしてこんなところに外国人が泊まっているのかと。でも、そういうところが面白い。

治安が悪いホテルではありませんが、雲南省昆明の茶花賓館(カメリアホテル)のドミトリーに、現地の中国人を連れて行ったことがありました。当時、20人部屋があったので、中国人はびっくりしてました。どうして金持ちの外国人が、こんな狭いところに、たくさんの見知らぬ他人といっしょに泊まっているのかと。しばらく、唖然としていたのを覚えています。

番組の話に戻ります。

アフリカ系フランス人のアマーは写真家を目指してる青年です。フランスでアルバイトして、お金をためて、何度も日本にやってきています。「将来は、いろんな国で撮った写真が新聞などに掲載されるのが夢です」と語りました。まるで、昔の俺を見ているようです。

最後にどうして、日本に何度もくるのか?という質問に、「日本人はほんとに優しくて、すばらしいからだよ」と言いました。深読みすれば、フランスでは、肌の色や出身地で差別を感じる彼でも、日本ではむしろモテたりするのではないでしょうか。だから居心地がいいのでしょう。でも、それは「日本人が優しいから」とは単純に言えないところがあります。なぜなら、同じ外国人でも、アジア系の人には厳しい日本人ですからね。

自分で癒されない部分を求めて、外国へ行こうと思うのは自然な成り行きです。彼の気持ちはわかる気がします。

3年間そのゲストハウスに住んでいるポーランド系イギリス人の青年も登場しました。日本語もぺらぺらです。もともと写真やデザインの勉強をしていましたが、今は、英語の先生をしながら暮らしています。無断外泊をしたり、生活は、ちょっと荒れた感じです。彼はどうしたいのかよくわかりません。イギリスに帰っても、また日本に戻ってきているようです。

フランス人のアマーも、このイギリス人も、「自分探しをしているのでしょうか」などと、吹石一恵さんのナレーションが入っていましたが、そんなかっこいいものではないかもしれませんよ。彼らは、自分の国では、「主流」とか「エリート」とかいうものから外れたところにいる人間です。そういった彼らが、居心地の良さを感じるのは、外国にいるときだから、ということかもしれません。自分の国で見つけられない「自分」が、外国に出たからといって簡単に見つかるわけではありません。俺も、「主流」とか「エリート」から外れた人間なので、そう思うのかもしれませんが。

ただ、だからこそ見えている風景があるのです。彼らにしか見えない特別な風景が。


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