渡良瀬遊水地のヨシ焼き
3月17日、土曜日、曇りのち晴れ
今日は、栃木県・群馬県・埼玉県・茨城県にまたがる渡良瀬遊水地のヨシ焼きの日。昨日の夜に自宅を出て遊水地のそばで車中泊し、朝5時に起きて場所を探した。
ヨシ焼きの日は、人が遊水地の中に入ることはできず、車の駐車場も3ヶ所だけ指定される。6時ころ土手に着くと、もう30人ほどのカメラマンが集まっていたが、ヨシ焼き開始時間になると、土手の400mほどの区間がカメラマンで埋め尽くされた。何人いるだろうか? ざっと1000人は集まったかもしれない。壮観な眺め。
以前このブログで「恋人たちの等間隔の法則」という記事を書いたが、今日も、その法則にのっとって、カメラマンが等間隔に並ぶ。(今日の条件は「隣の人がぶつからない距離」だ)
これだけのカメラマンが集まるイベントに参加したのは初めてのこと。ヨシ焼きよりも、この集まったカメラマンの多さに驚く。それがほとんど中高年。これから団塊の世代の大量定年を迎え、このカメラマンたちに仲間入りする人たちも多いのではないだろうか。来年は、1500人、再来年は3000人?
セスナ飛行機が飛んできて、ヨシ焼きの日であることを告げた。洗濯物を表に出さないように、窓を開けないように注意していた。
なぜヨシ焼きをするかというと、土手でもらったパンフレット『ヨシ焼き Q&A』(渡良瀬遊水地利用組合連合会主催)によれば、「ヨシを焼くことにより、害虫を駆除したり、落ち葉等も焼くことによってヨシを育ちやすくしたり、飛散するヤナギの種等を焼くことによって林のようになるのを防いだり、ヨシが成長する前に成長する春植物の発芽を促進する等の効果がある」とのこと。
午前8時半。棒の先に火を付けた係りの人たちがヨシ原の中に歩いて入っていく。遠くのほうから煙が立ち昇った。紅い炎も見えた。ようやく始まったようだった。まるで戦場のようだ。でも、こちらに近いところはなかなか燃えない。池があるので湿っているからだろうか。
もうもうと立ち昇る煙の中を、トンビとカラスが喧嘩しながら飛んでいる。どこかに避難しなくていいのだろうかと、人事ながら心配になる。
トンビとカラスの心配もさることながら、こんな日にも、ゴルフ場は営業している。黒煙と炎を背景にしてゴルフを楽しむ人たちを見て驚いた。こちらから見ると近いと感じるだけで、実際、火は遠いのかもしれない。でも、それにしても・・・。
今日は立ち入り禁止だが、ゴルフだけは例外的に許されているらしい。「ゴルフをやる」といって、中に入って写真を撮ったら、たぶん、誰も撮っていないアングルになるので、目を引くことになるだろう。少なくとも、この1000人の写真とは違うものが撮れる可能性が出てくる。
ようやく土手に近いところも燃え出した。炎は渦を巻き、パチパチと、ヨシが燃えてはじける音が聞こえる。炎を見ると興奮する。心に力がみなぎってくる。イラン・ヤズドでは拝火教の寺院へいった。聖なる炎が燃え続けていた。炎に神秘性を感じるのはイラン(ペルシャ)人だけではなかった。日本でもそうだった。心の奥深いところの何かが刺激される感じがする。
炎の熱で顔が温かくなった。冷えた体に、炎の熱はありがたい。煙が天まで延びて、ようやく顔を出した太陽を再び隠す。
ところで、今日の教訓として、場所は充分にあるので、わざわざ早起きして三脚用の場所取りする必要はなかった。1時間前に着けば充分。
11時ころ、ひと段落つき、カメラマンたちも帰りだした。焼けたヨシ原の匂い。これが渡良瀬遊水地の春を告げる匂いなのだろう。
「渡良瀬遊水地」、北海道「大沼」、兵庫県「円山川下流域・周辺水田」などがラムサール登録(2012/07/04)
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