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2007/04/17

映画 『ホテル・ルワンダ』

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(ルワンダは行ったことないので、写真はマダガスカルの草原です)

『ホテル・ルワンダ』を観ました。

衝撃的な内容ですが、映画としてもよくできた作品だと思います。ルワンダのツチ族、フツ族の問題は、正直、遠い話でしかありませんでした。(言い訳すると、当時の俺にはメコン川しか頭になかったし)

「虐殺」を「客観的」にではなく、主人公ポールの目を通した話になっているところと、虐殺のシーンが少ないことに共感を覚えるし、だからかえってより「虐殺」の問題が、身近に感じられました。(虐殺シーンが多すぎると、たぶん、とくに日本人は拒絶してしまうでしょ)

主人公のポールは、1994年、ベルギー系の高級ホテル、ミル・コリンで働く有能な支配人です。ホテルに避難民をかくまい、なんとか虐殺の悲劇から逃れるため、時には嘘をつき、ワイロを払うなど、いろんな手を使って、家族や避難民を守り通します。今まで、政治には関心を示さなかったホテルマンが、だんだんと、混乱を生きぬく「戦士」になってゆきます。

虐殺が始まったとき、その虐殺シーンの報道を見れば世界の人が助けに来てくれるはずですよね、とポールは、外人記者に同意を求めます。でも、外人記者は言います。「世界の人たちは、『怖いね』とは思うが、ディナーを続けるんだ」というのです。

滞在していた外国人はみんなルワンダを後にしますが、別れ際、外人記者は、ドアボーイが差し出す傘に対して「傘などいい。恥ずかしいから」と言いました。「世界の人たちは、『怖いね』とは思うが、ディナーを続けるんだ」と言ったとおりになってしまったのです。何も力になれなかった外人記者の気持ちが痛いほどわかりました。世界の人たちは、ルワンダを見捨てたのです。こうして、100日間で100万人(少なくとも50万人とも言われる)の大虐殺が行われてしまいました。

「虐殺はいけない」と、言葉では簡単に言えますが、いつ俺たちもそんな狂気に走らないという保障はありません。ルワンダのような悲劇は日本では起こらないなどと言い切ることはできません。

心の闇は、みんなが抱えているものです。だからこの悲劇も人ごとはありません。俺自身が、どうしようもなく暴力をふるいたくなってしまうような、危ない瞬間を何度か経験しているので、そう思います。その一線を越してしまったら、100万人まではすぐです。だから、この一線はなんとしてでも越えてはいけないのです。

『ホテル・ルワンダ』公式サイトはこちら


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コメント

tettyanさん
コメント、ありがとうございます。

>ポールの力で救われた人々は、幸運だった
と、私も思います。
でも、ポールのような立場になったとき、自分はどするだろうか?と想像しても、まったく予想がつきません。もしかしたら、自分の身が可愛くて、避難民を「売って」しまうかもしれないし、ポールと同じように、助けるかもしれません。私自身は、その時に、その立場になってみないと、本当にわかりません。
でも、「最近の若者は・・・」などと言われる日本の若者ですが、意外と大地震などの災害時には、ボランティアとして被災地に駆けつけたりということもあるし、一方、ポールも、最初から「避難民を助けよう」と思ってやっていたのではなく、状況からそうならざるをえなかったというふうに感じました。厳しい状況が、ポールを「英雄に育てた」とも見えました。
韓国人留学生が、線路に落ちた日本人を助けようとして死んでしまった事故がありましたよね。人が落ちた。それを見て自然と体が動いた。それは、韓国人とか日本人とか、考えている暇を与えない一瞬の行動だったでしょう。同じ状況になったとき、必ずしも、韓国人がみんな同じように助けてくれるとも思わないし、やっぱり、こういうのは、個人の問題なのではないかなと考えます。
ということで、日本人も、ぎりぎりの極限状態になったときに、他民族を、いや、他民族であっても(民族など意識せずに)命をかけて守る人もいるのでは?という期待はあるのですが。

投稿: あおやぎ | 2007/04/20 16:14

私も観ました
夜勤で寝なくてはいけなかったのですが
何気なくあわせたチャンネルから
ポールの、鳥肌が立つくらいの緊張感が伝わってきて
目を離せませんでした

民族とか、政治の問題に翻弄される人々の生命に
「運命」の文字を適用しては、あまりにもむごいと思います

でも、ニュースをテレビで見ながらディナーを続ける、
恥ずかしい、と言いながら傘を断わる気持ちがあっても、そのまま去って行く
これも、異民族の問題だからなのかもしれません
ポールの力で救われた人々は、幸運だった
と「思う事」しか私にはできませんでした

一部の人を除いて、多くの日本人には、見返りを期待せずに
他民族のために、自分の生命を危険にさらす事は出来ないのでしょうね。

投稿: tettyan | 2007/04/20 11:59

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