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2007/06/03

2007初夏、車中泊の撮影旅(15) 広島県千代田町の「壬生花田植」

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6月3日、日曜日、曇り時々晴れ

昨日、2日の続きから。井仁の棚田を見たあと、ブログをアップし、国道191号から261号線に入った。峠を越えると千代田町だが、その手前、両側がすごい石垣の棚田が続く。ここが棚田百選に入ってないのが不思議なくらい。立派な石垣と民家。下から見上げると、まるで山城のよう。

停まらないわけにはいかないでしょ。こんな立派な石垣を見ては。車を停めて歩いて棚田の農道を登っていく。ちょうど、おばあさんが歩いてきた。

「立派な石垣ですね。ここはなんというところですか?」「鈴張というところです」 山城のように見えた民家の住人が、おばあさん一家だった。明日の花田植を見に、千代田へ行く途中、すごい石垣を見たもんで、つい停まってしまいました」「そうですかい? 花田植は、この近くでもやりました。5月下旬でした」「ここは有名な棚田なんですか?」「ちょくちょく写真撮る人、参られるなぁ」「そうでしょうね。立派ですからね」「上から見られるといいですよ」 鎌を持ったおばあさんは、足取りも確かに、あぜ道を歩いていった。

おばあさんと分かれて、上に上った。民家ではおじいさんが植木の手入れ。しばらく立ち話をして、さらに上に。高速道路が視界に入ってしまう。だから、ここは下からの方がいいようだ。自動車の音が気になるのは、しかたないか。国道と、高速が通っている。

すごいなぁと思ったのは、民家の後ろまで棚田が迫っていて、屋根と同じ高さに田んぼがある。田んぼの下に民家があるように見えるのだ。(↑に掲載の写真) これも、石垣同様に、なるべく田んぼの面積を増やそうとしてきたことの結果だろう。

村の下から山城の写真を撮っていると、車が通りかかり、50代くらいの奥さんが「いい写真撮れました?」と声をかけた。「はい」といって、またこの石垣の立派なことを褒めると、「ここよりもいい棚田がありますよ。そこは棚田百選ですから」というので、「場所はどこですか?」と聞いたが、度忘れしたようで名前が出てこない。たぶん、井仁棚田のことだろうか。指をさす方向からするとそうだ。「時間があったら案内しますのに」というので「そんな。申し訳ないので、いいです」と断る。

峠を越すと、千代田町だ。道の駅に寄る。明日の祭りの会場、温泉、そしてコインランドリーの情報を聞く。

雲南省でも、祭りを見るためには、少なくとも祭りの前日までに行っておいて、下見をしていた。どこで行われるとか、それこそ、本当に行われるのかどうか、その場に行ってみないとわからないからだ。

それで、その癖が直らず、さっそく行ってみた。花田植の会場は、道の駅から約600m東方向の、壬生というところで、幟が立っていたのですぐわかった。30m四方の田んぼがあった。「貴賓席」というカードも立っている。どのくらい人が集まるのだろうか。

今度は、コインランドリー。交差点にあった。洗濯物がたまっていたので、これで安心。一応、俺も「人並みの下」くらいには清潔だ(と、思う)。

温泉は、運動公園の中にあるアザレアという施設で、道の駅では「すごく清潔ですよ」と教えられたのだが、本当だった。明日の祭りの日は、無料開放されるらしいが、今日は350円。(宿泊もできるようだ) 露天風呂はないが、サウナがある。大きな湯船に俺だけ。贅沢な気分。

スーパーもあったので食料を買い込むことができた。36円の缶コーヒー。安い! 「安いだけあって、これはあまりうまくないよ」と、そこにいた客のおじさんが俺に教えてくれた。「安いのはいいよね」 この町は車中泊の旅人には、いい環境だ。

夜、道の駅でトイレに行ったとき、「コンバンハ」という外国人と会った。インドネシアから鋳物の技術を習いに来ている青年。日本に来て1年たつ。ジャワ島のソロ出身。「2回行ったことあるよ」と言ったらびっくりしていた。

ソロといえば、バティックが有名。ちょうど車のカーテン代わりに使っているのが、ソロで買ったバティックだ。彼は、広島のインドネシアの友人を待っているところ。明日、野球大会があって参加するらしい。立ち話をしていると、そこに通りかかったのは、欧米系の金髪女性。俺たちに「コンバンハ」と挨拶して通り過ぎた。いったいここはどこだっけ?と、一瞬めまいのようなものを感じた。

☆☆☆☆

そして今日は、6月3日、日曜日。

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今回が初めての祭りの撮影だ。壬生の花田植祭り。この花田植祭りは、国の重要無形民俗文化財に指定されている。「壬生の花田植保存会」で出しているチラシによると、「・・・これは田の神を祭って稲作の無病息災と、豊穣を願う農耕儀礼であるが、同時に苦しい田植え仕事を楽しくしようとする方法でもあった。・・・」

壬生神社では、飾り牛13頭の飾り付けが行われていた。龍の彫刻をほどこしたものなど、立派な花鞍を胴体に固定する。尻尾は藁と三つ編みのようにする。泥の撥ねを和らげるためらしい。

牛は今現在、農耕では使っていないので、調教しないといけない。それが大変だ。水牛と違って、牛は水が嫌いだという。水に入りたがらない。だから田んぼに入るのも慣れさせないといけないし、少しうるさくても暴れたりしないように、毎日音楽を聞かせ、雑音に慣れさせているのだという。この祭りの飾り牛として、かなり努力している。昔なら、毎日田んぼで農作業していただろうし、その苦労はなかったかもしれない。

同じチラシによると「この地方には古くから囃し田という行事があった。・・・大地主の中には、自家の田植には沢山な人を集めて盛大に囃し田をやるものもいた。これに参加する牛には、豪華な花鞍を更に造花で飾り、早乙女等は今日を晴れ着飾った。その様子が余りにも美しいので花田植と言ったらしい。」

商店街では、小学生の田楽団が踊りを披露した。素朴だが華やかな祭り。

祭りは「ハレ」の日。非日常の時。祭りが終わると、日常生活、「ケ」の日に戻る。

最近は、「ハレ」と「ケ」の区別が付きにくくなっている。祭りも「個人化」が進んでいるのかも。しかも、一年に一度とかいうサイクルでは遅すぎるとばかり、一日の中に、小さな「ハレ」と「ケ」を作っている。たとえば、日中仕事をして、夜は飲んだりカラオケやったり。それが小さな祭り。

道の駅から、祭り会場まで無料の巡回バスが出ていた。まだ花田植まで時間があったので、財布を取りにいったん道の駅に戻る。


こちらにも写真があります。

Ya_2「広島県 壬生の花田植」


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コメント

あもんさん

コメントありがとうございました。

本当ですか? 千代田町に住んでいるんですか? 驚きました。昨日は、雨も降らなかったので、いいお祭りでした。牛の迫力。踊りの力強さ。来年もきたいですね。
今日は、九州にたどり着きました。

投稿: あおやぎ | 2007/06/04 13:43

青柳さん。こんにちは
壬生の花田植えいらしていたんですね
実は僕は今、この花田植えの田んぼから歩いていけるところに
住んでまして…
ちょっと感激です。
去年はじっくり見たのですが、残念ながら昨日は風邪でダウンで実家の
ほうにいました。
行けばよかったな~もしかしたら会えていたかも
花田植えはまさに現代絵巻物みたいだったでしょ
僕も感動して写真取りまくりました
井仁の棚田にも季節毎に訪れているし
先述してあった無名な棚田は実家への帰り道です
やっぱりあの棚田はすごかったんですね

いつかどこかで巡り会いたいですね

投稿: あもん | 2007/06/04 12:29

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