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2007/06/01

2007初夏、車中泊の撮影旅(13) 島根県江の川、浜田市、戸田柿本神社、中垣内棚田

070601
6月1日、金曜日、晴れのち曇り小雨

昨日は、石見銀山の龍源寺間歩を見たあと、昼過ぎて、観光客の数も増えていた大森の町に戻り、国道9号線を目指す。

次の町、温泉津が古い町並み保存をやろうとしていることを、おじいさんから聞いたので、街中に入り、ちょっと車で見物してから、江津市に。

街郊外の島の星山(高角山)に上った。狭い道だが頂上の展望台近くまで車でいけた。駐車スペースに車を停めて、歩いて頂上の展望台に。そこから、江の川の河口と、角の浦と日本海が見渡せた。雄大な景色。少し雨がぱらついた。

江の川は全長194kmで、中国地方最大の川。昔は船運が盛んだったという。

山を降りて、町を通過し、国道9号線で西へ向かう。途中のスーパーで食料と飲み物を買う。市内から数km、石見海浜公園、大崎鼻辛の崎に灯台がある。ここから見る白砂青松の砂丘海岸、角の浦、江津の町、室神山(浅利富士)、日本海のパノラマはすごい。

浜田市の道の駅、ゆうひパーク浜田は、バイパスの9号線沿いにあった。今晩はここに泊まる。

駐車すると、隣の車におじさん。車内がちらりと見えた。生活感がありありだ。車中泊の旅人だと、最近は勘でわかるようになってきた。

「どこからですか?」と聞いたら「湘南から」という。「湘南は、東京の南の・・・」と、おじさんはいうので、「わかりますよ。俺は埼玉ですから」「へー、そうかい。埼玉だってよ」と、後ろで横になっていた奥さんに声をかける。

彼らは、これから北海道を目指す。俺は九州。もっと話をしたかったが、夕日がきれいになってきたので、俺は海の見える場所に移った。そこで暗くなるまで写真を撮る。

それにしても、「車中泊の旅人」というのは、かなりいるなぁ。7年前、棚田百選を回っていたころ、そんなに車中泊の旅人には出会わなかったような気がするが。

日本人の「旅行」に対する考え方の変化を感じる。今までだったら、年配の夫婦で旅行といえば、温泉旅行のような、いい宿に泊まって、おいしいもの食べてというもの。ところが、豪華な宿や食事にではなくて、むしろ、いろんなところを、あまりお金をかけずに見てまわりたいという価値観を持った旅人が増えてきた、ということなのだろうか。

お金さえ出せば、何でも買える今の日本で、よほど高価な宿や食事なら、それこそ俺にとっては「非日常」であることは間違いないが、それでもそこに大きな価値は見出せない。もちろん、人それぞれなので、どういった旅の仕方でもいいわけだが。

「旅」の原点は、「非日常」を感じること。そして、いろんなところを見たい、知りたいということだろう。

これはバックパッカーの価値観と言えるかもしれない。日本人の、全年代にわたって、旅人のバックパッカー化が進んでいるとしたら、俺としては、仲間が増えるということで、うれしく思う。

雨がぱらついて、カメラと三脚を持って、道の駅の建物に雨宿り。レストランの従業員が通りかかり、「雨ですね」と声をかけた。「この前、ここで、すごく大きな虹をみました。あれは誰か写真に撮っていたんでしょうか」と彼女は言った。そんな虹を俺も見てみたい。

雨が降ったり止んだりする中、島の後ろの海に落ちる幾筋もの光線を撮る。なんだか、この前の砺波平野の散居村のときと似てるなぁと思った。

この道の駅には、レストラン、食堂、モスバーガーが営業している。しかも夜10時ころまでやっていて、ドライバーには便利な道の駅だ。俺も食堂でカレー。周辺情報もたくさんある。日帰り温泉リストはためになる。大きな休憩室にはテレビもあるし、テーブルで原稿書きができる。

☆☆☆☆

そして今日、6月1日。とうとう6月。今朝6時に道の駅を出発。益田市で9号線と別れ、国道191号線に入る。市内から約7kmのところから、山側に入っていくと(かなり道を間違えてうろうろしたが)、戸田柿本神社というのがある。この近くに柿本人麻呂の遺髪を祀った墓もあった。ほんとうは、神社や墓ではなくて、この周辺の田園風景がいいと聞いてやってきたのだったが。

せっかくなので、墓の写真を撮っていると、声をかけられた。柿本神社の49代宮司の綾部さんだった。「どこからですか?」と訊かれたので「埼玉です」すると、川越市に、綾部家の末裔の家が20戸ほどあるという。12代前、ここから川越に移っていったらしい。氷川神社にも人麻呂像が祀ってあるそうだ。氷川神社といえば、骨董市が開かれる神社ではなかったか。初詣もいったことがある。そんな関係があるとは、まったく知らなかった。4月18日にはお祭りがあるので、綾部さんは呼ばれて、川越にいったことがあるという。

ところで、ここ戸田村には、村人の氏神を祀った小野神社というのがあった。(今は、石と石垣が田んぼに少し残っているだけ) 柿本神社は、だから村の神社ではなくて、綾部家個人の神社だった。代々綾部家が神社を守ってきたが、先代までは、女系で継がれてきたらしい。昭和38年ころまでは、神社境内から日本海も見えて展望が良かったそうだが、今は、林に覆われて神社も隠れてしまっている。

偶然にも、すごい人物にめぐり合えて、おもわずタイムスリップしたような気がした。

ところで、ここからひとつ山を越したところが、中垣内という集落。棚田百選に選ばれている棚田がある村だ。ということは、俺は、数年前、山の反対側から、ここに近いところまで来ていたのだ。そのときは、もちろん棚田しか興味はなかったので、この神社や墓のことも知らなかったが。

山を越えていってみた。どんなところかほとんど覚えていない。あのときは、大雨が降っていた中、撮影していたし。

このへんだったろうかというところの民家の前に、髭が立派なおじいさんがいたので、棚田のことを尋ねてみた。するとこの先400mくらいから見えますよと教えてくれた。いってみたら、きれいに見えた。でも、以前は、谷の向こう側から撮影したことがわかった。この角度で棚田を見るのは、だから初めて。

写真を撮り始めたら、1台の軽トラック。なんと、さっきのおじいさん。何事かなと思ったら、「石垣を見るなら、もっと先まで行ったほうがいいよ」と、わざわざ教えに来てくれたのだった。

そして、俺が埼玉から来ていると知って、とても驚いていた。「せっかく来たんだから、回り舞台も見てってな」と言って去っていった。棚田撮影後、その回り舞台にいってみたら、地元の奥さんたちが、境内の草取りをしていた。回り舞台の、下の戸を開けて見ていいよといわれて覗いてみた。これは4人の男が人力で回すのだという。実際芝居をやっているところをいつか見てみたいと思う。

国道191号線に戻り、山口県萩市を目指す。途中、阿武町の道の駅で休憩。

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