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2007/07/31

『何でも見てやろう』の小田実さんが死去

070731
(写真はエジプト・アスワン。夕方のナイル川)

小田実さんが30日未明、胃ガンのため亡くなりました。

75歳でした。

俺が初めて外国へ行こうと決心して、焼肉屋でのアルバイトに励んでいたとき、何冊かの旅行記を読みました。

その中の一冊に、小田さんの『何でも見てやろう』がありました。

1961年に発表された、ヨーロッパやアジアなどをめぐった旅行記で、当時ベストセラーになったそうです。

俺が読んだのは、1979年だと思うので、発表されてからずいぶん時間がたっていましたが、まだ、外国を自由に旅行した本はあまり多くはなかったので、この本を、むさぼるように読んだ記憶があります。

内容はほとんど覚えていませんが、この『何でも見てやろう』というタイトルだけは忘れませんでした。忘れるどころか、今までずっと頭の中にあった気がします。旅するときは、なんでも見て、聞いて、食べて、経験して・・・、がむしゃらに行動する青年旅行者、タイトルにはそんなイメージがありました。

1950年代は、まだ外国へ旅する日本人も少なかったろうし(小田さんはフルブライト奨学制度を利用して出ています)、俺が出た1979年でさえ、今と比べればまだそれほど多くはなかったでしょう。海外の情報に飢えていた若者たちの心の叫びだったかもしれません。若者ばかりではありません。日本人の海外旅行の仕方そのものが、まだ成熟していない、青臭さを持った「青年期」だったのです。そんな時代を象徴するようなタイトルでした。

その後、海外旅行は一般的なものになり、「何でも見てやろう」というよりは「ここだけ見てやろう」という旅行が多くなってきたようです。それだけ、日本人の外国に対する知識量は増え、嗜好、趣味が多様化してきたということでしょうか。

今は、テレビ、雑誌、インターネットで、外国の情報にあふれています(ほんとうはそうでもないんですが)。行かなくても、行ったつもりになれます。下手したら、実際行った人よりも、情報をよく知っている人がいるくらいです。

ただ、行かないとわからないことがあります。わからないことは、実際に現地に行って、初めてわかります。あたりまえですが。

それは情報ではありません。自分の体で感じるものです。他人とは共有できない、自分だけの感覚です。「見る」というと視覚的なことばかりを想像してしまいますが、小田さんが書いていたことも、「情報」ではなくて、日本人が外国へ行ったときの「感覚」だったのではないかなと、今思います。

いつまでも「何でも見てやろう」という気持ちで、旅ができたらいいなぁと思っています。

ご冥福をお祈りいたします。

小田実さん死去 作家 市民平和運動に尽力
東京新聞 http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2007073002037096.html 参照

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2007/07/30

参院選の結果 自民党は大敗、民主党は大躍進

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昨日の選挙結果は、予想以上に、自民党にとっては厳しい結果になりました。

国民は怒っている、ということですかね。自民党にお灸をすえるために、民主党に入れた人も多かったのでしょう。短期的には、選挙直前の赤城農水省大臣の一連の発言(と、不発言)。これに反発した人も多かったと思います。

それと、小泉さんのときの反動が現れたとも言えるかもしれません。安倍さんの言動は、前総理、小泉さんと比較して見られがちでした。歴代の、どうしようもない総理大臣も何人かいた中、安倍さんはそれほど悪い方ではないのかもしれませんが、どうしても、小泉さんと比べられてしまうのは、安倍さんの宿命であったのかもしれません。

全体的には、若い人の当選が目立つというのも、クリーンさや変革を求めての、国民の意思表示の現れではないでしょうか。

2大政党政治へ向けての第一歩ということでしょう。


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2007/07/29

暑中お見舞い申し上げます。(2)

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今日は選挙の日。

結果はどうなるのでしょうか。

今日の写真は、宮崎県と大分県の境で、今月6月に撮影した写真です。

水田に浮かんだ民家ですが、スイスかどこかかな?と思うような光景に突然出会いました。

道を間違って見つけた光景。

でも、こういう旅をしていると、「道を間違える」ということの意味がなくなってしまうのでした。


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2007/07/28

暑中お見舞い申し上げます。(1)

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ようやく日本も暑くなってきましたね。

夏本番です。

写真は、佐賀県神崎町のクリーク。

ハスの花が咲く、姉川城址です。

でも、中・南欧の熱波はすさまじいものがあります。

ハンガリーでは、なんと500人も亡くなっているそうです。

欧州殺人熱波!ハンガリーで500人死亡
スポニチ http://www.sponichi.co.jp/society/news/2007/07/26/01.html 参照

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2007/07/27

タリバンが、韓国人人質を殺害

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(写真はイラン・ヤズド)

韓国人がアフガニスタンのタリバンに誘拐されて、その中のひとりが殺害されてしまいました。ペ・ヒョンギュ牧師(42歳)で、今回のボランティアグループのリーダーでした。拉致された韓国人女性が、パキスタン側に助けを求める電話をかけてきたといいます。韓国人たちの恐怖は想像もつきません。

タリバンは、自分たちの仲間の釈放(それと身代金。これは払われたようです)を条件にしているようです。

韓国人たちはキリスト教徒で、布教しにいったという報道もあり、もしこれがほんとうなら、火に油を注ぐようなもので、反感をかうかもしれません。でも、もしそうだったとしても、人質は日本人の可能性もあったのではないか、という気もします。外国人を人質に取るやりかたは今後も続くかもしれません。

結局、タリバンが勢力を盛り返し、アフガニスタンは数年前に逆戻りしているようです。テロへの報復といって、さんざん人を殺し、物を壊しながら、こんな結果しか生まないとしたら、あまりにも悲しい。

ここ数年で「テロと闘う」といえば、戦争がしやすくなったともいえます。それも、このアフガニスタンが原点でした。

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2007/07/26

アジア・カップの決勝戦はイラクとサウジアラビア

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(写真はイラン・エスファハーン。ライトアップされたマスジェデ・エマーム)

昨日の、サッカーのアジア・カップ準決勝、日本対サウジアラビア戦は、残念な結果でしたね。

2対2のときまでは、いい試合だったのではないでしょうか。先制点を入れられて、すぐに取り返す。その気迫あふれる選手たちの姿に、感動すら覚えました。そのあとは、残念・・・。

これで決勝は、イラクとサウジアラビアのイスラム国どうしになりました。当日の応援合戦がすごそうです。

ところで、イラクでは、たいへんなことになっています。決勝のときはどうなるんでしょうか。

アジア杯決勝進出に沸くバグダッドで爆弾テロ、50人死亡
CNN.com http://www.cnn.co.jp/world/CNN200707260003.html 参照


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2007/07/25

イランで服装の取り締まりが始まった

070725
(写真はイラン・エスファハーン)

きのう、「おつかれさん」という店について書いた流れで、今日もイランの話題です。

イランで厳しい服装取り締まり
2007年07月23日 20:01 発信地:テヘラン/イラン http://www.afpbb.com/article/entertainment/fashion/2258491/1855450 参照

4月の新聞で、イランの服装の取締りのニュースを知ったのでしたが、そのあとどうなったかなと思っていたら、7月23日からまた厳しい取締りが始まったようです。

俺がイランに行ったのは、もう2年前です。旅行中は、意外と女性の服装がカラフルだったことに驚き、道のまん中で女子大生から握手を求められて、やっていいのだろうか?と、逆に俺が周囲の目を気にしたりして、でも、ちゃんとやりましたが、そんな開放感がありました。

市内バスも、男女別の席だと聞いていたのですが(最近、日本の電車にもある「女性専用車両」と似てる(?))、エスファハーンやシーラーズでは、平気で男女いっしょの席に座っていたし、イスラムの厳格さが色濃い「イラン」のイメージが変わったのでした。

でも、それから事情が変わったらしい。あのとき、ちょうど大統領選挙があって、保守強硬派のアフマディネジャド氏が勝利しました。核開発についても強気な発言が目立ちますが、国内的にも引き締め政策が取られているようです。

でも、若い人たちは、そんな政策についていくんでしょうか。町では、さすがにマックやケンタッキーはないものの、イランふうファーストフード店で、若者たちはハンバーガーやピザを食べているし、テレビでは、ハリウッド映画もやっていました。アメリカは嫌いだけど、アメリカ文化は好きだというイラン人はたくさんいるようです。

でも、服装が乱れているといっても、「足首が見える」「髪の毛が見える」という程度なんです。それでも厳格なイスラム教徒には許されないんですね。それなら、日本女性の服装は、ほとんど下着姿、いや、ほとんど裸です。倖田來未なんて、即、逮捕でしょう。日本の女性はほとんど犯罪者になってしまいます。(俺も、西洋のロゴ入りシャツを着ることがあるので、逮捕されます)

ずっといると気が付きませんでしたが、俺はこんな国に住んでいたのかぁと、あらためて思いましたね。もちろん、がっかりしたわけではありませんが。


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2007/07/24

「おつかれさん」という近未来型飲食店

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(写真はイラン・エスファハーン)

東京都内に「おつかれさん」という店があります。

西武新宿線の新井薬師前にあるのですが、ここをわざわざブログに書こうと思ったのは、ちょっと変わった店だからです。

何が変わっているか? それは、店主がイラン人であること。なら、イラン料理店か、というとそうではなくて、外観も普通の定食屋か居酒屋なのです。なにしろ、店名からして「おつかれさん」ですからねぇ。ただ、たまたま店主がイラン人で、日本料理の他に、イラン料理も出している、という感じでしょうか。

テヘラン出身の店主は、日本に来て18年ほど経つそうですが、顔を見ないで会話だけを聞いていると、日本人だなというくらい、日本語が達者です。彼は、長年うなぎとすっぽんを出す日本料理店で仕事をしていたので、メニューには特製タレで焼いたうなぎもあります。

考えてみれば、イランでポピュラーな料理に、カバブやクビデという焼き物がありますが、焼き物には共通する部分があるのかもしれません。イラン料理を作るときもほとんどスパイスを使っていないといいます。素材を生かす調理法は、日本食から影響を受けたのでしょうか。とにかく、店主の料理に対するこだわりを感じます。

以前、都内のあるレストランで出された「クビデ」があまりにもひどかったので、店長(日本人)に文句を言ったそうです。それは、その店の「グビデ」を注文した客は、「クビデ」という料理はこんなもんだと思って、次回からは、他の店(たとえば、「おつかれさん」)でもクビデは頼まなくなる、本当のクビデを食べなくなることを心配するというのです。

都内の別なイラン料理店のように、いきなりハイテンションな店主から、民族衣装を着せられることもなく(それはそれでおもしろいですが)、「おつかれさん」は、14席ほどの小さい店ですが、ほんとに「おつかれさん」という言葉をかけられたような、落ち着けるいい店だと思います。

これだけ外国人がたくさん住み、国際的になってきた日本です。当然、外国人が純和風飲食店をやってもいいわけです。イラン人は、イラン料理店だけしかできないというものでもないでしょう。そういう意味で、「おつかれさん」は、日本の近未来の飲食店を予感させる形でもあるのです。


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2007/07/22

雑誌『BRUTUS(ブルータス)』に棚田の写真

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雑誌『BRUTUS(ブルータス)』の8/1号の特集は、日本の旅「ニッポン観光 2007」ですが、その中に、見開きで棚田が取り上げられています。

インタビューとともに、和歌山県あらぎ島、宮崎県徳別当、長崎県土谷などの棚田が掲載されています。

先月、車中泊の旅で撮影した、長崎県雲仙市(旧千々石町)の棚田の写真(↑の写真)もあります。そのときの記事は、次のページでどうぞ。

Ya_2「2007初夏、車中泊の撮影旅(19) 嬉野、川棚、大瀬戸、愛野のジャガイモ畑、千々石の棚田」(2007/06/07)

雑誌には、棚田の他、ダムや産業遺産なども紹介されていて、まだまだ日本は、探せばいろんなテーマが見つかるという、旅のおもしろさを感じさせてくれる誌面になっているのではないでしょうか。


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2007/07/20

【訃報】 河合隼雄さん

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日本のユング派心理学研究の第一人者で、元文化庁長官、京都大名誉教授の河合隼雄さんが亡くなりました。

<訃報>河合隼雄さん死去79歳
(7月19日16時14分配信 毎日新聞 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070719-00000057-mai-soci 参照)

臨床心理学者の立場から、教育論、宗教論、日本文化論など、幅広い分野で活躍されました。

ここ何ヶ月間、ずっと河合さんの本を読んでいました。

夢分析や、意識と無意識について、最近の日本に通過儀礼がなくなったことでの弊害、大震災後のカウンセリングは被災者に必要だが、強引なカウンセリングは逆効果になること、絵や音楽などを創作することは、精神的な癒し効果があることなど、「目からウロコ」がたくさんありました。

河合さんの本を読むことで、たぶん、カウンセリングを受けているような効果はあるのかもしれません。そして、「写真」と「棚田」も、俺にとっては精神的な治療薬であるのかもしれないなぁなどと思っていたところです。まさにそのとき、ラジオから入ってきた昨日の訃報のニュース。

ご冥福をお祈りいたします。

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2007/07/17

テレビ東京 『ibuki(いぶき)』で棚田の写真

100607_3_2
 
070717
テレビの情報です。

テレビ東京系列局の、自然をテーマにした番組『ibuki(いぶき)』で棚田をやります。棚田のスチール写真とムービーのコラボレーションです。

テレビ東京(関東)では、
7月21日(土) 17:15~17:20

各都道府県で、放送局・時間が違います。

ちなみに、山形県は、
山形放送 7月28日(土) 11:45~11:50

番組内容は、旭化成建材のホームページでどうぞ
http://www.asahikasei-kenzai.com/akk/neo/



より大きな地図で 世界の棚田 を表示

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2007/07/16

新潟県中越沖地震が発生。余震続く

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(写真は新潟県柏崎市高柳町花坂。市内の南部は、こういった棚田地帯です)

新潟で、また地震がありました。埼玉県も震度4だったようです。大きく揺れたので、初め、めまいかなと思ったら、電気が揺れていて地震だとわかりました。

今、15:00.被害状況が刻々と明らかになっていますが、かなりひどい状態です。

震源地に近い新潟県柏崎市を通過したのは、今年5月下旬のことでした。十日町市の棚田地帯から、日本海側に出たところが柏崎市でした。そこから海沿いに、富山県に向いました。

震源地は約40km離れてはいますが、3年前に起きた2004年10月の中越地震のメカニズム、規模ともに、ほぼ同じらしい。太平洋側は、「地震がいつ来てもおかしくない」と、前からさんざん言われていて、それなりに、警戒をしていますが、日本海側は、突然起きます。しかも、今年になってから、3月25日、能登半島地震もあったし、日本海側の方が多いんじゃないかと思えるほどです。

要するに、日本である以上、どこにいても地震が起こる可能性はあるということなのでしょう。あらためて日本が地震の国であることを思い知らされます。

15:38。今、埼玉県もまた揺れました。新潟県の余震? ラジオのニュース。新潟で震度6がまた出たようです。

被災された方々にお見舞い申し上げます。余震が続いています。くれぐれも注意してください。

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2007/07/15

「毒菜」国家、中国の行くえ

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(↑の写真は、中国広州の市場)

中国の食に関してのニュースが相次いでいます。農薬などに汚染された野菜を「毒菜」と呼ぶらしい。香港では、自衛策として、野菜の洗い方を指導したり、農薬を落とす洗剤を販売したりしているらしい。

それにしても、なんで、このタイミングでボロボロと出てくるのか、よくわからないですねぇ。来年のオリンピックに向けて、今年中に膿を出しておこうということなのでしょうか。おとといも書きましたが、偽物や汚染食品は、昔からあったわけで、オリンピックのため、というならば、もっと前に対策を取れたはずです。

たとえ、この問題が、1年後に収まっているとしても、中国の食品に対するイメージの回復が簡単にできるとは思えません。「毒菜」国家、中国はどこへ行こうとしているのでしょうか。


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2007/07/12

「石見銀山遺跡とその文化的景観」が世界遺産に

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(石見銀山 大森の街並)

島根県にある「石見銀山遺跡とその文化的景観」が世界遺産に登録されるかどうか、微妙だったのですが、日本側の説得で、登録されることが決まりました。「逆転決定」だったので、その意外性に驚いた人も多かったのではないでしょうか? 正直、俺もその中のひとりです。

当ブログでも書きましたが、石見銀山に「登録延期」が勧告されていたのは、世界的価値がよくわかってもらえなかったからです。石見銀山に行って、俺は初めて銀山の世界的価値を知りました。でも、日本人のどれほどがそのことを知っているのでしょうか。日本人が知らないことを、世界で認めてもらうには、かなりの説得力がないとだめだろうと思っていたので、今回の登録はないだろうなぁと予想していたのです。ところが、「登録決定」のニュースが飛び込んできたので、驚いたわけです。

Ya_2「島根県石見銀山。世界遺産になるか?」

Ya_2「2007初夏、車中泊の撮影旅(12) 島根県石見銀山」

石見銀山が世界遺産に登録されたことは、日本側の説得が功を奏して世界的価値が認められたことであり、「よかったですね」と言いたいですね。ただ、すごい数の観光客が押し寄せ始めているらしい。観光業にとっては、世界遺産登録がどんなに効果があるか、ここでも証明されました。

ところで、最近、経済的・観光的効果を狙って、何でもかんでも世界遺産に登録しようとする自治体が出てきているらしいですね。もちろん、今回の石見銀山には、それだけの価値があると思いますが。

以下の記事にも、「平成15年にイコモス副会長を務めた西村幸夫東大教授は「最近は世界的知名度が足りない遺跡を申請しようとする自治体が増えている」と、観光振興を狙った安易な風潮を戒めている。」とあります。

石見銀山、世界遺産登録の舞台裏 欧州主導、アジア不利
(7月1日19時59分配信 産経新聞 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070701-00000907-san-soci 参照

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2007/07/11

映画 『ユナイテッド 93』を観て (2)

070711
昨日に続いて、映画 『ユナイテッド 93』 についてです。

安全でなければならない空のシステムが、予想もしない自爆テロによって、もろくも崩れ去っていく様子が、映画では描かれていました。俺たちは、世界貿易センタービルを見て、「資本主義」「欧米主義」を象徴するような「物」の崩壊を目の当たりにしたわけですが、映画を観ると、「物」ばかりではなくて、「システム」(つまりは思想)も崩壊していたんだなということがよくわかります。

ビルに突っ込んだ飛行機を見る管制官や軍人たち。目の前で起こっていることが、今までの常識(思想)では理解できず、ただ見つめるだけ・・・。(実際の管制官・軍人が出演しています)

それにしても、システムから見放され、孤立無援の飛行機が、こういう状況になった場合、俺は、何ができるのだろうか?と思います。乗客たちがテロリストに立ち向かっていったのは、情報が得られたからです。システムに頼らない、自分で手に入れた情報です。

外部との電話で、航空機2機が世界貿易センタービルに突っ込んだこと。5機(本当は4機だった)がハイジャックされて、その1機がこの飛行機であること。そして、パイロットが殺されたこと。この情報があって、テロリストは死ぬつもりであることを判断し、飛行機を奪い返すことを決心するのです。

映画は、9.11のユナイテッド93便の話だけれど、「テロリストに立ち向かった英雄たちの話」といった単純なものではなくて、人が死ぬか生きるかのぎりぎりの状況に陥ったときの、「命のせめぎあい」を見ました。例えは悪いかもしれませんが、黴菌と白血球の闘いと同じものを見ているように感じたのです。

「生きるとは、こういうことなのだ」といったことを見せ付けられたような気がします。

『ユナイテッド 93』を観て(1)

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2007/07/10

映画 『ユナイテッド 93』を観て (1)

070710
この映画、DVDで続けて4回も観てしまいました。

同時多発テロ事件、9.11のとき、ハイジャックされた航空機4機のうち、1機だけは、目標まで到達できなくて、途中で墜落しました。それがユナイテッド93便でした。

ユナイテッド93便で何が起こったのか。乗客と乗務員がテロリストに立ち向かい、飛行機を奪い返そうとしたことがわかりました。

映画の最後、乗客たちはコックピットまでたどり着き、テロリストから操縦桿を奪おうとして争いながら墜落してしまいます。実際は、コックピットまで達していたかどうかはわからないらしいのですが。

操縦桿を誰が握るか、それが監督のイメージでもあったらしい。次の時代、世界の舵取りをだれがするのか?という、現代人のイメージであるのかもしれません。

テロリストは彼ら自身の神を、乗客も彼ら自身の神を信じています。そのお互いの神が排他的なのは、一神教ゆえでしょうか。いや、一神教が問題なのではないでしょう。

それぞれの宗教に妥協や協調の精神があるはずなのに、それを「解釈」する一部の人間が、都合のいい「解釈」に変え、「信仰心」を凶器として利用しています。

テロリストにも愛する家族がいるし、テロ実行を躊躇する心の動揺もあったようです。だからなおさら「あなたを信じます」と神に祈って飛行機を墜落させようとする姿が、とても腹立たしく、そして痛々しい。単純にテロリスト個人を「悪人」として切り捨てていない監督に、深い物の見方を感じました。

乗客の遺族にとっては、「ただ黙って殺されたのではない」という姿を見て、少しは慰めになっているようです。あまりにも理不尽な死に方に、どう向き合っていいかわからない遺族たちの悲痛な叫びが聞こえてきます。

(つづく)

『ユナイテッド 93』を観て (2)

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2007/07/09

写真展『棚田を歩けば』 終わりました。

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(写真は宮崎県高千穂町の棚田)

昨日で、写真展が終わりました。

みなさん、ありがとうございました。(このブログを見て写真展に来てくれた人もいましたね) 「棚田病」に罹って帰ってもらえたなら嬉しいです。「棚田病」の感染力は強力で、潜伏期間は短いです。発病したら最後、特効薬はありませんが、当ブログと、電網写真館「オリザ館」が薬のような効果はあるかもしれません。

ところで、来てくれた人から、また新しい棚田の情報を聞いてしまいました。「あそこにある」と聞いてしまうと、行かないと気のすまない性格なので、たぶん、行ってしまうでしょう。棚田を探す旅は、今後もしばらく続きそうです。


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2007/07/06

展示写真から 今日の一枚 (9) 中国雲南省元江の棚田

070706
今日は、中国雲南省元江の棚田です。

最近、元陽は棚田のある県として有名になり、中国人ばかりではなくて、日本人もたくさん訪れる一大観光地になりました。今、ちょうど映画『雲南の少女 ルオマの初恋』が公開されていますが、この舞台になっているのも元陽です。

ただ、雲南は広い。棚田に関して言えば、けっして元陽だけがすごいのではなくて、その隣の県、紅河、元江も負けず劣らず、すごい棚田がたくさんあります。

↑の写真は、標高1500mほどの雲海の上にある棚田ですが、この下に村があるらしく、写真を撮っていると、男がひとり上ってきました。(わかるでしょうか。画面の左寄りの、尾根に立っているのが、竹篭を背負った人間です)

農作業にでも行くのか、隣村へ知り合いを訪ねるのか。いずれにしても、毎日が「登山」です。

このあと、午前10時くらいになると、雲海は波のように棚田の斜面を行ったり来たりしながら、だんだん消えてゆきます。その様子がまたドラマチックです。

写真展『棚田を歩けば』(7月8日まで)


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2007/07/05

展示写真から 今日の一枚 (8) マレーシアの水田 

070705
今日は、マレーシアの水田です。

タイの国境を越えてマレーシアに入ったコタバルは、マレー文化が色濃く漂う町です。そのコタバルの郊外へ出ると、大水田地帯です。写真はそこで肥料をまいていたおじさんです。

コタバルは、ナイト・バザールで有名です。町の広場にたくさんの屋台やレストランが出て、いろんな料理を楽しむことができます。「ナシ・クラブ」という、「チョウマメ」の花の汁で染めた青いご飯もあります。

ただし、ここはイスラムの町。お祈りの時間になると、広場の客は例外なく(つまり外国人も)店から追い出されて、食事が一時中断させられますが、これも「お国柄」なので、そんなに不便を感じることはありません。

写真展『棚田を歩けば』(7月8日まで)


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2007/07/04

展示写真から 今日の一枚 (7) フィリピン・バナウエの棚田(B) 

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今日も昨日に引き続き、フィリピン・バナウエの棚田です。

棚田には大きな農道などもなく、あぜ道を移動するしかありません。だから、「あそこに行こう」と思っても、なかなかたどり着けません。なので、現地の農民が、ガイドをやりたがります。それが彼らの現金収入になっています。

「何年か前、外人が田んぼに落ちたけど、誰も気がつかなくて死んでしまった。翌年、そこだけが稲の成長が良かったので、死体の場所がわかった」などと、脅迫ともとれる、嘘か本当かわからない話をします。そして「私を雇え」と迫るわけです。

俺も、結局、「説得」されて、おばさんガイドを1日間雇ったことがありました。

写真展『棚田を歩けば』(7月8日まで)


バナウエの棚田(オリザ館)

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2007/07/03

展示写真から 今日の一枚 (6) フィリピン・バナウエの棚田(A) 

070703
今日は、世界遺産に登録されている、フィリピン・ルソン島北部、バナウエの棚田です。

3年前に撮ったバナウエ・バダッド村の写真ですが、この時点で、まだ村に自動車道は通っていませんでした。だから、カメラバッグとバックパックを背負って、大雨の中、山道を1時間半歩いたのでしたが、道は、今も同じでしょうか。

雨があがった谷間に広がる棚田は、収穫直前の黄金色で、山越えの疲れを一気に解消してくれるほど美しいものでした。ゲストハウスに荷物を置くのは後回しして、この写真を撮り続けたのでした。雨季なので、いつ天気が崩れるかわからなかったからです。

今から30年前まで、村人は民族衣装を着て棚田でコメを作り、自給自足の生活を送っていました。外界との接触も少なく、「小宇宙」といっていい世界だったと、村人は懐かしそうに言いました。

写真展『棚田を歩けば』(7月8日まで)

バナウエの棚田(オリザ館)

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2007/07/02

展示写真から 今日の一枚 (5) ベトナム・サパの棚田

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今日は、ベトナム北部、中国雲南省との国境にも近い、サパの棚田です。

霞がかかった夕方の棚田。水に太陽が映って、あぜ道の模様が強調されます。

俺は「美しさ」と同時に「怖ろしさ」みたいなものも感じます。いや、「畏れを含んだ美しさ」と言ったほうがいいかな。

まるで「細胞」のようにも見えてきます。人体の中を顕微鏡で覗いたら、こんな形がどこかにあるんじゃないかと思わせるような。(そう感じるのは俺だけ? 「棚田病」だからねぇ)

でも、考えてみれば、人間も「自然」なんだから、相似形が発見できるのも、当然といえば当然かもしれないですね。それが「あるべき形」「許される形」ならば、とくに。


写真展『棚田を歩けば』(7月8日まで)


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2007/07/01

展示写真から 今日の一枚 (4) イランの水田

070701
今日も、昨日に続いてイランの写真です。

水田の中で雑草取りをしている女性です。顔つきを見ると、イランとわかるかもしれませんが、やってる姿や服装は、「日本」と言ったら日本でもありそうな感じ。

イラン人もコメを良く食べます。とくに、この水田・棚田地帯である、カスピ海沿岸地方では、日本人の1.5倍ものコメを消費しているという数字もあります。イランもコメの国なんですね。


写真展『棚田を歩けば』


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