映画 『ユナイテッド 93』を観て (1)
この映画、DVDで続けて4回も観てしまいました。
同時多発テロ事件、9.11のとき、ハイジャックされた航空機4機のうち、1機だけは、目標まで到達できなくて、途中で墜落しました。それがユナイテッド93便でした。
ユナイテッド93便で何が起こったのか。乗客と乗務員がテロリストに立ち向かい、飛行機を奪い返そうとしたことがわかりました。
映画の最後、乗客たちはコックピットまでたどり着き、テロリストから操縦桿を奪おうとして争いながら墜落してしまいます。実際は、コックピットまで達していたかどうかはわからないらしいのですが。
操縦桿を誰が握るか、それが監督のイメージでもあったらしい。次の時代、世界の舵取りをだれがするのか?という、現代人のイメージであるのかもしれません。
テロリストは彼ら自身の神を、乗客も彼ら自身の神を信じています。そのお互いの神が排他的なのは、一神教ゆえでしょうか。いや、一神教が問題なのではないでしょう。
それぞれの宗教に妥協や協調の精神があるはずなのに、それを「解釈」する一部の人間が、都合のいい「解釈」に変え、「信仰心」を凶器として利用しています。
テロリストにも愛する家族がいるし、テロ実行を躊躇する心の動揺もあったようです。だからなおさら「あなたを信じます」と神に祈って飛行機を墜落させようとする姿が、とても腹立たしく、そして痛々しい。単純にテロリスト個人を「悪人」として切り捨てていない監督に、深い物の見方を感じました。
乗客の遺族にとっては、「ただ黙って殺されたのではない」という姿を見て、少しは慰めになっているようです。あまりにも理不尽な死に方に、どう向き合っていいかわからない遺族たちの悲痛な叫びが聞こえてきます。
(つづく)
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