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2007/12/26

雪華  映画『バベル』を見て

071526
菊地凛子が第79回アカデミー賞の最優秀助演女優賞候補にノミネートされたことで話題になった、ブラピ主演の映画『バベル』を観ました。

【ネタバレ注意】
モロッコのアトラス山脈でアメリカ人観光客が銃撃される事件が起き、世界で大きく報道されますが、それはテロリストによる事件ではなくて、少年のいたずらによるものでした。そして使われた銃が、役所広司扮する日本人の会社役員がハンティングのモロッコ現地ガイドに「お礼(善意)」としてあげたものだったという話。

こう書いてしまうと、それだけの話ですが、深読みすれば、いろんなことを考えさせる映画ではありました。

一見ばらばらのようでも、世界のあるところで起きている出来事は、世界の別なところで起きている出来事と無縁ではないということでしょうか。

日本でのシーンは、会社役員の娘、菊地凛子扮するチエコが、盛り場をうろつき、やたらと脱ぎたがる、ちょっと変った女子高生の行動がメインでした。

映画のストーリー上、日本のシーンが必要なのか?と疑問でしたが、「そうか」と気がつきました。それによって日本のシーンが必然性を帯びるからです。

金にあかして好き勝手にやっている日本人の「善意」が、こんなふうになるかもしれないんだよと、日本人を皮肉っているのかもしれません。もちろん、「風が吹けば桶屋が儲かる」式の因果関係に、どこまで責任をもてるのかは疑問ですが。

ただ、この構図は、あることと似ています。日本は、自衛隊を前線に送ることはなく(憲法上しかたないですが)、お金だけ出しています。でも、銃は撃たなくても、お金を出していることによって、イラクやアフガンで人が殺されていることに日本も関係している、そういうイメージとダブるのです。

アメリカには「思いやり予算」(在日米軍駐留経費負担の通称。名前がステキですね)を負担しています。「アメリカの正義」をふりかざし、気に入らない国を攻撃し、民間人を殺していることに、「思いやり予算」≒「善意」が使われているとしたら・・・。

そして、この映画を観て、あらためて思いました。アメリカ人がひとりでも銃撃されたら世界中のニュースになりますが、たとえば、イラク人やアフガン人やアフリカ人は、何人殺されたらニュースになるんでしょうか。


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