映画『モーターサイクル・ダイアリーズ』を観て 1
(写真は中国西域カラコルム・ハイウェー)
前から気になっていた映画ですが、『モーターサイクル・ダイアリーズ』を観ました。
中古のバイクで雪のアンデスを越え、マチュピチュ遺跡、そして密航してアマゾン河へ・・・ 伝説の革命家チェ・ゲバラの無鉄砲で情熱的な青春の日々を描くロードムービーの傑作!
(公式HPはこちらで http://www.kadokawa-pictures.co.jp/official/m_cycle_diaries/index.shtml )
23歳の医学生エルネストは、親友アルベルトといっしょに、ブエノスアイレスから、おんぼろバイクで旅を始めます。途中でバイクが故障してからは、歩きとヒッチハイクの旅になりました。地を這うような厳しい、でも、楽しい旅です。
そういう旅だったからこそ、鉱山労働者やハンセン病患者との出会いは彼らに衝撃を与え、「人の役に立ちたい」という思いが芽生えたのでした。「この旅で自分が変わった」のだといいます。たしかに、旅には、とくに、外国の旅には、その力があります。
俺も、最初のヨーロッパ・モロッコの旅で、明らかに変わりました。もちろん、チェ・ゲバラのような「人の役に立ちたい」などという立派な思いではなく、自分の「井の中の蛙的な思い込み」です。今までの「常識」が、音を立てて崩れていきました。
でも、俺は「みんな外国を旅したほうがいい」とも思いません。むしろ、こういう旅をしてしまう、しなければならない人は、特殊なのです。しないですんだら、それに越したことがないと思っています。旅で、「変わってしまい」、人生が狂ってしまう人もいます。(俺も?)
そして、外国を旅したから、みんなが変わるかというと、当然ながらそうでもありません。変わる人もいれば、変わらない人もいます。
最近の「自分探しの旅」という言い方に、違和感を持ちます。日本での日々の生活で探せないものが、外国へ出たからといって見つかるものではありません。チェ・ゲバラのように、自分のやるべきことがはっきり見える人なんて、そういないんです。逆に言うと、そんなに簡単に見つかるような「自分」なら、たいしたことはないでしょう。
そして、「自分」なんか探す必要はないと、今はあえて言いたいですね。なぜなら、今は、猫も杓子も「自分探し」がブームで、探せない俺は(私は)ダメなんだと思い込む、強迫観念みたいなものがあるんじゃないでしょうか。あるいは、「自分探し」を隠れ蓑にして、何も行動しない人たちがいるように感じるからです。
俺は、いまだに「自分」なんかわかりませんよ。たぶん、死ぬ直前に、「あぁ、そうか。これまで何となく惰性で続けてきたことが、結果として俺がやるべきものだったんだ、『自分』とは、こういう人間だったんだ」とわかり、死んでいくのだと思います。いや、そういう死に方が理想です。
ただ、外国へ出ると、大きなきっかけにはなるかもしれません。だから、「変えよう」「探そう」と思っている人が、もしいたら、もちろん応援します。それで、変わらなくても、探せなかったとしてもいいじゃないですか。
旅に出ること自体に意義があるんです。結果なんか、期待せずに。チェゲバラたちもそうでした。予想しないからこそ、「変わる」ことができる、あたりまえの話ですよね。
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コメント
放浪の虫は、マラリア原虫のように、普段はなりを潜め、あるとき、突然活動を始めます。
動き出したら最後、自分ではどうしようもありません。
最近は、「棚田病」も併発しています。
投稿: あおやぎ | 2008/05/27 12:04
旅はいいですよね♪
私はまだ海外に旅行をした事ないですが、
知り合いの雲南省出身の人(白族)に、
「一緒に麗江へ行きましょう!」
と何度か誘われました。
金銭的、時間的にすぐに行ける状態でないですが、いつかは行きたいと思っています。(^^)
(今は四川大地震でそれどころでない…!?)
私は旅をする度に人生観変わりますね。
昨年私は病気で入院しましたが、退院した後、毎月のように放浪の旅に出ました。
いろんな人に出会いましたが、
旅先で知り合った人に、「山下清?」と言われました。
(^^ゞ
今頃放浪の虫は、なりを潜めていますけど…。
投稿: 祝融 | 2008/05/27 00:13