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2008/05/21

【ひとり会議 その十四】 クローン犬

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【ひとり会議 その十四】 クローン犬


さぶじい: 「世界で初めてクローン犬を誕生させた韓国のソウル大学とバイオ関連企業がアメリカの女性の死んだ介護犬を複製するという契約を結んだ」というニュースを聞いて、人間の欲望には際限がないなと思いました。
( gooニュース http://news.goo.ne.jp/article/hatake/life/hatake-20080226-01.html )

桃: 倫理的な批判も出ているらしい。とうぜんかも。

ボゾルグ: でもね、そもそも、オオカミを飼いならして、人間の都合に合わせて「改良」してきたのが、ペットの犬なんだから、その「改良」の技術が、「交配」から「クローン技術」になっただけで、何もかわらないし、許されるという考え方もあるよね。

桃: そこには、動物は動物、人間とは違うという考えがあるわけね。

ボゾルグ: それは当然でしょ? もちろん人間にはクローン技術は使わないよ。(今のところ) 犬だからすんなり許される。倫理的に問題ないんじゃない?

ビーノ: ボクは、なんだかこのニュースを聞いて寂しくなった。このクローン犬を依頼した女性は、よほど前の犬が良かったのはわかるんだけど、でも、次も「前の犬」なの?と思っちゃう。どうして、違う犬じゃダメなの? まったく同じ犬じゃなければダメだというのは、同じおもちゃをねだる子どもだったり、同じ部品しか使えない機械みたいだよね。それが他の犬からすると、なんだかさびしい。別な犬でも、主人に尽くす犬はたくさんいるよと言いたいな。

桃: クローン犬は、遺伝子は同じだけど、「同じ犬」になるわけではないので、そのとき、この女性は、「違う犬」に対して、どう感じるんだろうか?と少し不安。もしも彼女の好み通りじゃなくて、聞き分けのない犬に育ったとしても、同じ遺伝子の犬だからって、許せるのかな?

さぶじい: 女性がクローン犬を欲しがるのは、「遺伝子が同じ犬」じゃなくて、「同じ性格の犬」ということではないですかな? それはクローン技術でも、解決できない問題です。しかし、ある技術が生まれたら、けっきょく使ってみたくなるのが人間なんですね、たぶん。それがどんなに倫理を外れていても。しかし、こざかしいのは、その技術を使いたいだけなのに、「困っている人を助けたくて」などと言い訳する人たちがいるんですな。

桃: つまり、後ろめたさはあるってことよ。あとから理屈をつけて、その後ろめたさを消そうとしているんじゃないの?

ボゾルグ: まぁ、犬だから「倫理」なんてことを持ち出してくるけど、家畜だったらどう? たぶん、これからもっと食糧危機になってくれば、家畜のクローン化は普通になってるかもしれないよ。そのとき、家畜がOKなら、なんで犬はだめなのか?って話になるんじゃない?

さぶじい: たしかに、線引きは難しいかもしれませんが・・・。

ボゾルグ: でしょ? そのうち、ぜったいこの問題が出てくると思うよ。そのときは、クローン技術を使うという「倫理」とは何かも問われるよ。

さぶじい: 一匹一匹、性格も、姿かたちも違うから「生き物」なのであって、全く同じというのは、機械でしかありえません。私は、生き物のクローン化にはやっぱり違和感を覚えますな。たとえ家畜でも。

桃: 「家畜」というのは、「動物」ではなかったのよ。今までの考え方では。人間の利益のために存在する「物」よ。捨ててもいい機械と同じ。それは、家畜だけではなくて、環境というものに対しても同じだったと思うわ。環境も、人間が利用できる「物」でしかなかった。でも、これからは、そうはいかない。たとえ家畜であっても、人間の価値とは無関係に、家畜自身に生きる価値があるという考え方に変わりつつあるんじゃないかな。だから当然犬にも・・・。

ボゾルグ: 家畜や犬自身に生きる価値があるって話と、クローン技術を使う話は別問題だと思うなぁ。新しい技術に対しての違和感というか、不安感を抱くのは、俺もわかるけどね。

ビーノ: ボクだって、クローン、気持ち悪いよ。ボクが死んだあと、ボクのクローン犬が生きてるなんて、想像したくないな。

ボゾルグ: というか、ビーノのクローン犬を欲しがる人はいないとは思うけどね。問題犬だからね。

ビーノ: どこが問題犬なの? 

ボゾルグ: 人の役に立ちたくないって宣言する犬なんか・・・。ねぇ? 今、ロボットの研究が盛んで、いずれ、遊び相手になったり「癒し」を与えるロボットや、番犬の代わりをしてくれるロボットが登場するんだろうね。そのとき、ペットの犬はどうなるのかな? 犬は、必要ないってことで、少なくなっていくのかなぁ。ビーノ、食べられちゃうかもよ。

ビーノ: ひどいよ、ボゾルグ!

桃: あまりビーノを脅かしちゃだめよ。ビーノは、打たれ弱いんだから。

ビーノ: 桃の言うとおり。ボクはデリケートなんだ。だれかと違ってね。

桃: この前も話したけど、犬は、犬自身のためにも生きているのよ。なにも、飼い主のためだけじゃないわ。その点、ロボットは、飼い主、いえ、持ち主のためだけだし。

さぶじい: 要するに「道具」ですな。ビーノさんたち犬は、「道具」ではありません。人間と同じ生き物です。だからどんなにロボットが増えても気にすることありません。ロボットに負けないですから。

ビーノ: さぶじい、ありがとう。気休めでも嬉しいな。


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