食糧サミットで、非難されるバイオ燃料政策
イタリアのローマで開催中の国連食糧農業機関(FAO)の食糧サミット。
地球温暖化対策にどれだけ効果があるのかわかりませんが、俺個人の感覚としては、食糧をバイオエタノールという車の燃料にすることに違和感を持っています。
俺の感覚は「古い」のでしょうか。「食べ物を粗末にすると、罰が当たるぞ」と教育されてきたせいかもしれません。車の燃料にするんだから、「粗末」にするわけではない、と反論されると困ってしまいますが。
もともとCO2を吸収した植物で作ったものを燃やすだけだから、CO2は新しく増えない、温暖化に関係ない、だから、京都議定書でもCO2削減対象にはならない、らしい。
これも、なんだか屁理屈に聞こえます。バイオ燃料生産には、熱源や化学肥料など、化石燃料を大量に使うらしいし、できたバイオ燃料を、たとえば、ブラジルやアメリカから地球の反対側、日本まで運ぶというときも、化石燃料は使われるわけで、けっして胸を張って「環境に正しい」とは言えないのでは?と感じます。世界的な穀物値上がりの原因のひとつにもなっているのです。
穀物輸入国の反発は理解できます。とくに貧しい国は。俺たちの食糧を削ってまで、車の燃料が欲しいのか? そういうふうに思うでしょう。
食糧サミットの演説で、福田首相も食糧を使わないバイオ燃料を提言しました。「稲わらなど食料と競合しない原料」で作るバイオ燃料の開発が進められていくようです。これなら「罰は当たらない」と思います。
バイオ燃料を批判するなら、日本にも、考えなければならない問題があります。作れるのに作らない、日本の「減反政策」のことです。これも世界の食糧危機から見ると、胸を張れない政策なのではないかと思うのですが。
問題は、米価でしょうか。ちゃんと価格が安定する保障があれば、なるべく多くコメを作りたいと思っている農家の人は多いと思います。
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コメント
水素スタンドが普及しないとダメですか。
でも、ガソリンを使わない車が普及しそうになったら、産油国と、石油会社は、猛反発でしょうね。石油利権の「力」はすさまじいものがあります。石油のために戦争してしまうくらいなので。
投稿: あおやぎ | 2008/06/08 18:17
水素と水で動く車は、水素スタンドの普及がポイントですね。国が進めている燃料電池車も、同じように水素スタンド計画があったような気がします。
数年前に、水素発生装置を車に積んで、タンクに「水」そのものを入れて走る車を発表した人がいましたが、本物か偽物かで意見がわかれたようです。でもそういう方向性で、大手メーカーにも車の開発をしてもらいたいものですね。
石油利権がいろいろからんで、難しいという意見もありますが……。
投稿: 遊民。 | 2008/06/07 17:37
遊民。さん
コメント、ありがとうございます。
バイオ燃料用の作物を作るというのは、本末転倒。私も同感です。
バイオ燃料については、あまりにも政治の匂いが強すぎて、「バイオ燃料とはどういうものか」という根本的なところが、さっぱりわかりません。どれだけ地球温暖化に効果があるのか、それとも、ないのか。
食糧サミットでも、曖昧なところで終わってしまったようですね。
ところで、水素と水で動く車はすごいですが、まだ普及していないというのは、何がネックなのでしょうか。水素を補給する技術的な問題なのか、経済的な問題なのか。それとも、まだ何か他に問題があるのか。
普及したら、いろんなことが、解決ですね。
投稿: あおやぎ | 2008/06/06 23:07
おひさしぶりです。
バイオディーゼルにずいぶん前から注目していますが、
最近の動向はまったく本質を捉えていないと思っています。
バイオディーゼルが注目されたのは、
廃油からBDFを作っていた点だと思います。
それがいつの間にかバイオ燃料用の作物を作るようになりました。
これは本末転倒で、
植物油をそのまま給油できるSVO(もったいないけど)や
廃油をそのまま給油できるWVOにシフトしていくべきでしょう。
捨てられているものを利用するという点では、
稲ワラなどはいいですね。
あと、ガソリンや軽油以外の燃料にも注目したいものです。
燃料電池ではなく、水素と水で動く車もおもしろいです。
http://www.haw-system.jp/
ちなみにアメリカでバイオエタノールが普及しているのは、
遺伝子組み換えの菜種が余っているからという説がありますね。
投稿: 遊民。 | 2008/06/05 20:51