秋葉原での無差別殺傷事件 1 どうして、こんな残虐な無差別殺人に走ったのか?
オタク文化の世界的聖地である秋葉原で起きた無差別殺傷事件。亡くなった方のご冥福をお祈りします。
この犯人につては、これからいろいろと「分析」されていくのでしょう。どうして、こんな残虐な無差別殺人に走ったのか?
仕事に対す不安や不満、社会に対する孤独感や疎外感、親に対しての恨み。そんな「理由」が、もっともらしく語られています。
「理由」がはっきりしたものには、対策もあるし、納得もでき、安心することができます。でも、「理由」がわからないものに対しては、いつまでも恐怖心が付きまとい不安です。だから、社会の安定を維持するためにも犯行の理由、動機の解明が必要なのでしょう。
だからと言って、彼の凶行を社会・時代、親の教育の失敗と結びつけ過ぎるのはどうかと思います。そんな理由なら、今は先の見えない社会・時代なのだから、みんな殺人鬼にならなければならない。
俺は、犯人のもっともらしい「不幸な境遇」を聞くにつけ、腹が立ってきます。たとえば、外見が悪いだの、彼女がいないだの、仕事が無くなるだの、親が自分のエゴを押し付けただの、そんなこと、俺もまったく同じだったよ、と言いたい。
俺ばかりじゃありません。ほとんどの人が、不満や不安や孤独感や疎外感や怒りを持っていても、「だれでもいいから殺す」というところまではいきません。「殺人を思う」ことと「殺人を犯す」ことでは、まったく質が違います。
今回気になるのは、けっこう犯人に対する同情の声があることです。そういう不満を持っている人が、多くなっているということなのでしょうが、危ない兆候だと思います。同情する人たちは、秋葉原ではなくて、どこかの小学校や幼稚園だったとしても、同じように同情できるのでしょうか?
犯人は、社会人として、あるいは、男としての理想像、たとえば、「勝ち組」だの「イケメン」だの、世間で作られた虚構に、まんまとハメられてしまったのかもしれません。だから、その理想像を外れるのが許せない。人生は終わりだと思い、やけっぱちになってしまう。考え方の狭さ、硬さを感じます。
犯人は、「誰かに止めてほしかった」といっているように、人の同情を引こうとしています。人の話に耳を傾けてほしいという思いはわかるにしても、でも、それ以上は騙されないようにしないと。犯人は、殺人を隠れて犯したのではありません。だから、捕まってもいい、死刑になってもいい、ということなのです。「事件を起こした後のことは考えていなかった」と供述しているそうです。つまりこれは「自殺」なのです。
勝手に自殺する分には、まぁ、しかたないなぁと思うだけです。たぶん、彼のような悩みで自殺してる人はいるだろうと想像できます。ただこの犯人の場合、「ひとりで死にたくない」とか「幸せな人を巻き込んでやる」といった身勝手な理由で、何の関係も無い人たちを、なるべく大勢道連れにしようとした単なる異常者としか見えません。
犯人は、無差別殺人するほど必死です。世間をアッと言わせ、あわよくば、世間の同情を引くという犯人の、最後のもくろみに乗ってはいけない。労働環境改善の問題と、殺人は別に考えなければ。彼を英雄視するような人たちや模倣犯が、出ないようにするためにも。
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コメント
たぶん、本当の動機など、わからないかもしれません。本人さえも。こういう人に道徳や倫理に訴えても効果はないように感じます。
だから、こういう「テロ行為」をやってしまえる環境、たとえば、インターネットの殺人予告や、ダガーナイフなど凶器の販売をするという環境を、変えなければ、と思います。ある程度の規制も、やむをえないかもしれません。
巻き添えをくらった、犯人と何も関係ない人は、ほんとに気の毒です。こんな理不尽な死に方はないと思います。
投稿: あおやぎ | 2008/06/17 23:41
実は、4月に国立のギャラリー亀福での展示会や、有楽町のさえずり館の写真展を見に行った後、せっかく東京に来たんだし、秋葉原へ行ってみよう♪と行ってたんです。
ちょうど事件現場になった所でも歩き回りました。
普通の平日でしたが、人がたくさんいました。
歩行者天国の時間だともっとたくさんの人が居たでしょうね。
そういう中で起きた事件…
青柳さんの言う通り、誰でも犯人と同じような悩みを抱えています。
私もです。
けれど、不満をぶつける矛先を他人に向けるのは間違ってます。
「誰かに止めて欲しかった」とか、携帯ネットに書き込みの内容を見ている限りでは、自己中心的で悲劇のヒーローを演じている感じです。
全く関係の無い人を傷つけて済む事では無いでしょう。
何かに依存している感じだし、負け続けの人生は人のせいではなく、犯人自ら選んだ道だと言う事を気付き、被害者に対して償って欲しいと思います。
こう言った事件を二度と起きないよう願うばかりです。
亡くなった方にはご冥福をお祈り致します。
投稿: 祝融 | 2008/06/16 23:42