数万人暴動が起こった中国・貴州というところ
(写真はロウケツ染めの布を洗うウェイさん)
昨日も書きましたが、貴州省は中国でも貧しい山国で、暴動の背景には、役人・公安に対する不満や、貧富の差があるかもしれません。
俺は、1989年、貴州省のプイ族の民家に1週間ほど通ってロウケツ染めを習ったことがあります。
その翌年の春節にはホームステイして、正月行事を見せてもらいました。
初めてそのローケツ染めを見たのは、貴州省安順市から30キロ南に下った黄果樹の滝を見にいったときに出会ったプイ族の女性が、ローケツ染めの民族衣装を着ていたのです。
その精緻な模様が気に入り、自分でも作りたくなったのでした。
ロウケツ染めをやっている家を探して、主婦であるウェイさんに、弟子入りしました。ローケツ染めは、液体状に溶かしたフォンラー(蜜臘)で白い綿布に模様を描き、乾いた後にトゥーディェン(藍の染料)で染め、最後に熱湯でフォンラーを洗い落とす。フォンラーで描いた部分が白い模様となって現れます。
ウェイさん宅では、電気は来ていましたが、裸電球ひとつで暗いし、テレビはないので、囲炉裏のそばで話をするのが、夜の過ごし方でした。
ウェイさんの次男が、高校の宿舎に泊まりながら勉強していて、週末に帰ってくるのですが、けっこう農村にしてはあか抜けした服装をしていたし、お湯を沸かして、洗面器で髪を洗ったあとは、カーラー(?)で髪を巻き、パーマをかけていたのが印象的でした。どこでも若い人は同じだなぁと思ったことを覚えています。
あの当時は、まだ中国の改革開放が始まったばかりで、中国全体が貧しさから徐々に抜け出そうとしている時期でした。ウェイさんや息子たちも、この改革開放に期待を寄せて、きっと俺たちも裕福になれると思っていたところはあると思います。
そういう「良い夢」を見ている彼らに接することが、俺にとっても、元気の源になっていたのは間違いありません。だから、何度も、雲南や貴州に行っていたのだと思います。
ところが、改革開放は、都会の人たちを豊かにしましたが、田舎にはあまり恩恵がなかったというのも事実でしょう。もちろん、それでも、当時と比べたら、生活レベルは上がったのでしょうが、でも、昔は、あまり「差」がなかった。みんな貧乏だった。だから、それは当然のこととして気にならなかった、ということはあると思います。
それが今では、格差は広がるばかり。中国人の話をする前に、俺自身の格差を考えなければならないのですが、それはさておき、田舎の人たちが、いつまでも生活が厳しく、それに引き換え、都会では裕福な生活を送っているのを知るにつけ、不満がたまっていくのはわかります。
しかも、中国の役人などの汚職、腐敗は、どこかの国以上に深刻だと聞いています。今回のようなきっかけがあると爆発してしまうところは、中国にたくさんあるのではないでしょうか。
チベット問題は、「漢民族」対「少数民族」という図で、問題を利用して愛国主義を盛り上げることはできましたが、中国政府にとっては、むしろ、各地にふつふつと沸き起こっているこういう「貧しい漢民族+少数民族」の不満が爆発することのほうが、怖いと思っているのかもしれません。
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コメント
yutakarlson さん
コメントありがとうございます。
中国が分裂するかどうかはわかりませんが、田舎の不満が爆発するのは、これからも増えていくとは思います。
投稿: あおやぎ | 2008/07/05 00:35
■中国貴州省の暴動にみる壊れた中国の実態
こんにちは。中国の役人の腐敗ぶりなど、日本の役人の腐敗はまるで天使のように清らかであるとさえいえます。中国で役人の「能力」とは、役得でいくら稼げるかを意味します。役得でかなりの金が稼げる人を「能力」のある人といいます。
今回の貴州省の暴動により、壊れた中国の実態がまた検証された形となったと思います。このままでは、中国は私がかねてから予測していた通り、北京オリンピック開催後に革命がおこり分裂すると思います。ここに書いていると、長くなってしまいます。是非私のブログをご覧になってください。
投稿: yutakarlson | 2008/07/02 11:55