NHKの番組 『プロフェッショナル仕事の流儀スペシャル▽宮崎駿のすべて~“ポニョ”密着300日 』
(写真は埼玉県の雑木林)
この前の月曜日、NHKで、『プロフェッショナル仕事の流儀スペシャル▽宮崎駿のすべて~“ポニョ”密着300日』をやっていました。
宮崎駿の4年ぶりの新作映画『崖の上のポニョ』が7月19日に公開されましたが(俺はまだ観ていません)、「ポニョ」の創作現場に300日にわたって密着したドキュメンタリー番組です。
インタビューの中で、友人が死んだとき、友人がまだ自分が死んだことに気がついていないと思ったので、病院の集中治療室へ行って、友人の魂(?)を連れ出し、(そのとき、自動ドアにはさまれないように、しばらく開けておいたそうです)、車の助手席に乗せて(座席のシートは沈まなかったそうです)、友人宅で停まり、「ここまで来たらもう分かるだろう」といって、友人を家に帰したといっていました。
この話を聞いて思ったのですが、一般人から見たら「まともではない行動」でも、宮崎氏にとって、自分なりの友人を送る「儀式(=葬式)」だったのでしょう。どんなに立派な葬式をしても、その人が納得できる形でなければ、意味がありません。
既存の宗教に信仰心をもてませんが、こんな俺でも、けっして「無宗教」なのではありません。自分なりの宗教は持っていると思います。それはどんなものか?と聞かれても、言葉で説明できるほど、論理的でも、具体的でもありません。「なんとなく」と言うしかない漠然としたものなのですが。
そして、この宮崎氏の友人を送る「儀式」の話を聞いて、彼の映画に、微かに漂う花の香りのような、押し付けがましくない宗教感覚がわかったような気がしました。とくに、『天空の城ラピュタ』、『となりのトトロ』、『もののけ姫』に漂う感覚ですね。
ストーリーや、キャラクターも、「こう作ってやる」といった能動的なものではなくて、「こうならざるをえない」といった、必然性みたいなものを、うまく取り入れることができる人なのかなと思いました。必然性があれば、形になり、そして動き出す、と言ってもいいかもしれません。「森を見てたら、トトロが浮き上がってきた。それを描いた」みたいな。もし、ならなかったら、それまでのこと。
そういうことを、ひたすら「待つ」ことができる天才なのでしょう。たいていの凡人は、すぐに決着をつけようと、自分の「腕力」でキャラクターを作り、ストーリーを作ってしまう、ということなのかもしれません。
一時期、こういった企画を持ち込んでも、相手にされないつらい時期があったといいます。「馬糞の匂いがする」(聞き違いなら、スミマセン)と酷評されたそうです。
なんとなくわかります。テーマが「地味」なのかもしれません。テーマに、「派手」も「地味」も、ホントはないと思いますが、人間の本質「生きる」ことがテーマであることは、一見「地味」に見えてしまうのはしかたないかなと思います。なぜなら「生きる」とは、地味な作業ですから。
でも、今では、宮崎氏のアニメーションが世界的にも受け入れられています。「環境」が人の関心を引く今の時代に合っているテーマだからかもしれません。本人は、あまりエコロジー的な観点からの評価は好まないようですが。
人間が次の時代「どう生きるべきか」というテーマでもあります。我々は、無意識にその答えを、宮崎氏の映画の中に、むさぼるように探しているのかもしれません。
『崖の上のポニョ』、そのうちぜひ観てみようと思います。
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コメント
sachi3155さん
コメント、ありがとうございます。
宮崎氏がどうしてああいう映画を製作しているのかわかってよかったと思います。
すごいと思ったのは、必然性を見つけるまで、待てる、という才能です。
投稿: あおやぎ | 2008/12/01 10:02
おはようございます♪ナント!!!NHK大好き人間としては何とした失態・・・!TV見そこないました。そんないい話されていたんですか?私も賛成です。監督の人柄がわかりますね♪しかし、青柳さんも写真以前に素敵な心の持ち主ですね♪こんな捕らえ方・物の見方が出来るからい、いいお写真が撮れるのですね~(にこにこ)この写真も静寂さの中に強さみたいな物を私は感じました。左手前にフ入り熊笹と広がる雑木林のコラボがなんとも・・・いいですぅ。
投稿: sachi3155 | 2008/11/29 04:24