秩父市下久那地区 「ジャランポン祭り」
この前の日曜日、秩父市下久那地区で、「ジャランポン祭り(葬式祭り)」が行われました。
昔、疫病がはやったとき、病人を、あらかじめ「死人」にすることで、これ以上、疫病がはやらないことを願って行われたものが始まりらしい。(他にも諸説あり、詳しいことは分かりません) 災いを笑いとばすという意味もあるようです。少なくとも、100年以上は続いているのではないかとのこと。
39年前に見たことがあるというアマチュアカメラマンによると、当時から、祭りの様子は変わっていないといいます。「奇祭」と言われるこういう行事が100年も続いてきたことに驚きます。(あとで、それなりの努力をしていることを教えてもらいましたが) 葬式祭りというのは、全国でも珍しいのではないでしょうか。(もしかしたら、ここだけ?)
60年くらい前、地元のおばさんが10代の少女だったころ、ジャランポン祭りでは、子どもたちがお芝居したり、歌を歌ったりしたそうです。モチ、オハギ、スシなども作りました。集会場(場所は今と違う)には、おじいさん、おばあさんが、ムシロを敷いて見物しました。楽しかったそうです。「昔は、それくらいしか楽しみがなかったからねぇ」と言います。
酒が入って、だんだん場が盛り上がっていきます。祭りのメインは、死人役の人が、棺おけにみたてた大きな茶箱に入って一升瓶の酒をラッパ飲みし、僧侶役の人は、いいかげんなお経をあげて、みんなを笑わします。
葬式の真似をするのですが、みんな酒を飲みながらやるので、笑いがたえません。昔疫病がはやったときも、この笑いで、深刻さを避けて、なんとか乗り切ったのではないか、と想像します。
葬式というと、日本では、神妙な顔をして、「笑う」というのはある意味不謹慎に取られてしまいますが、アジアの葬式では、そんなことはありません。もちろん親族は泣いています。でも、どちらかというと、にぎやかで明るい雰囲気です。(そのうち、「アジアのおくりびと」というテーマで、書くつもりなので、詳しいことは省略します)
だから、今回の「ジャランポン祭り」を見て、あらためてアジアの葬式を思い出してしまいました。
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コメント
あだちさん
コメントありがとうございます。
去年、寄居の祭りを見てから、埼玉西部に興味を持ちました。寄居の花火大会にアジアの匂いを感じたからでした。
そのあと吉田の「龍勢祭り」を見ました。これが雲南省タイ族の祭りと同じだったこともあり、特に、秩父にはまり、行けば行くほど、秩父は面白いところだと思うようになり、今は週に2度ほど通っています。
8月号から、雑誌で秩父の連載をすることになりました。詳しいことが決まりましたら、またお知らせします。
今後ともよろしくお願いいたします。
投稿: あおやぎ | 2009/03/25 09:53
ご無沙汰しております。
時折、サイトを覗いては、すばらしい写真のかずかずを、いつも楽しませていただいています。
私も西武沿線なので秩父はそんなに遠くない場所、という印象がありました。が、「おくりびと祭り(?)」には正直、驚きました。
日本は実に奥が深いですね。
これからも日本を、アジアを、美しく描き続けていただきたいです。
変わらぬご活躍を祈念しております。
投稿: あだち | 2009/03/24 01:13