妻と犬連れ3匹の、日本一周の旅 (84) 旅する犬
車の中で眠ることができる、ひとり放っておいても大丈夫、好き嫌いがなく何でも食べる、雨の日は外に出なくても平気、といったうちの犬の性格は、旅人(旅犬)むきだ。
しつけしたつもりはまったくない。でも、犬は飼い主に似る(飼い主が犬に似る)ともいうので、知らず知らずのうちに、旅犬のしつけになっていたのかもしれない。
他の犬のことを聞くと、ひとりで待っていられない犬とか、ドッグフードが変わると食べられない犬とか、車酔いする犬とか、いるそうだ。でも、うちの犬からは想像つかない。
本人は、もちろん旅していることはわからないだろうが、毎日違う匂いを嗅ぐ事ができるので、刺激にはなっているのではないかとも思う。
北海道のある道の駅で、「いろんなところに行けて、このワンちゃん幸せねぇ」といった人がいた。俺は、「幸せかどうかわかりません」と答えた。飼い主の身勝手(俺たちの場合は、長期に旅をすること)に付き合わされる犬は、たまったものではないのではないだろうか?と、ちょっと後ろめたさを感じていたからだ。
犬は、同じ匂いをかいで安心するそうで、だから、毎日の移動は犬にとって苦痛なのではないか?という人もいるからだ。でも、今回旅してみて、そうとは思えなくなった。
これは、たぶん人間も同じで、旅をしているほうが幸せを感じる人もいるので、犬だって、旅して毎日違う匂いで刺激を受けたほうがいいということもあるのではないか。匂いで世界を「見て」いる犬にとって、いろんな匂いを嗅ぐことは快感でもあるだろう。
実際、旅をして、うちの犬は、犬らしくなった。野生的にもなった。才能が開花したとも取れる。能力は、使わないと鈍ってくるのは、我々人間も同じだ。その人に合った環境が、その人の能力を引き出す。今回の旅で、森の匂いを嗅いだのが良かったのではないかと思っている。
しかしそう思っているのは飼い主だけかもしれない。ほんとのところ、わからない。
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