妻と犬連れ3匹の、日本一周の旅 (86) うちの犬が吠える理由
旅をして、うちの犬が、犬らしくなったと書いた。
その中で、人に吠えるようになったことが、良いことなのか、悪いことなのか、微妙だ。
旅に出るまでは、人に吠えたのは、1回だけ。そのことについては以前も書いた通りで、去年、俺がスピード違反で捕まったとき、窓に近づいた警官に対してだけだった。
ところが、旅を始めて10日ほどたったとき、茨城県大洗で会った人に「うちの犬は、人に吠えないので、それだけは助かっています」などと言ったその夜、街灯に照らされたカップルに吠えたのだ。
それから、ちょくちょく吠えるようになった。本人は、「番犬」の仕事をするようになって、「少しは役に立ってるでしょ?」などと思っているのかもしれない。
自宅にいるときは、自分のテリトリーを犯しそうな怪しい人間は近くに来たことがなく、だから、吠えることがなかったのだろう。でも、車で旅していると、いろんな人間が近くを通る。否が応でも、犬の、縄張り意識が強くなるということはわかる。
自宅に戻り、以前のように日中は玄関先の小屋で過ごしているが、前と何も変わらず、人が訪ねてきても吠えることはない。それどころか(これも前に書いたが)、俺や妻が帰ってきても、小屋から出たりしないのだ。せっかく主人が帰ったのだから、少し「忠犬」のふりをしてくれてもよさそうなのだが、小屋から飛び出してきて、尻尾を振って出迎えてくれるなどという微笑ましい姿は、まったく期待できない。それは前と同じだ。
ところが、先日、ある人間が入ってきたら、大声で吠えた。普段は吠えないので、俺もあわててしまったくらいだが、なんと、入ってきたのは、選挙運動中の候補者だった。
それで俺は悟った。うちの犬は、誰にでも吠えるわけではない。「特殊な人間」に対してだけなのだと。
そういう意味で、去年の警察官、そして今回の候補者に吠えたのは、まったく正しい。ホントかどうかわからないスピード違反をしたと言って罰金を取ろうとする警察官(スピード探知機の精度から、100パーセント正確とは限らないらしい)、選挙前だけ低姿勢で大きな夢を売る候補者。彼らに共通するのは・・・?
俺は犬をほめてあげることにした。
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