山口さやか/山口誠/著 『「地球の歩き方」の歩き方』
知人の夫婦が、『「地球の歩き方」の歩き方』という本を出版しました。
「地球の歩き方」の歩き方
山口さやか/山口誠/著
新潮社
2009/11/18
『歩き方』が出版されて30年。ちょうどその最初の「ヨーロッパ編」が市販された1979年に、俺もヨーロッパへいったのでした。出発直前に「これだー!」と思って1冊買い込んだのを覚えています。
それまで、ヨーロッパ各国の在日本大使館の資料を取り寄せたり、数少ない旅行記を読んだり、ミニコミ誌を探したりという「苦労」が、なんだったんだ?と思えるくらい、必要な情報が詰まった、待ち望んでいたガイドブックだったのです。
なので、俺も『歩き方』とともに旅を続けてきたように感じます。
ここ数年、若者の外国旅行離れは進んでいます。俺たちが、バックパッカーを始めた70年代後半~80年代というのは、年毎に外国へ行く若者が増えていた時期でした。『歩き方』がこの時期に出たのは、必然だったのでしょう。
今のように外国に関する情報は多くなく、とくに、安く旅するノウハウをガイドしてくれる『歩き方』にお世話になった人間は多かったはずです。
中には、「地球の迷い方」となどと陰口をたたき、情報が正しくないと不平を言う旅行者もいました。でも、そういう旅行者にかぎって、黄色い表紙の『歩き方』を片時も手放さない、いや、手放せないのでした。
英語もろくにしゃべれなくて、ほかの外国人旅行者から旅の情報を聞けない日本人旅行者にとっての救世主であったかもしれません。文句を言いながらも、この本から自由になれなかったというほど、『歩き方』の存在は大きかったのです。
ただこの30年で、『歩き方』の役割は、少なくとも、当初の目的、バックパッカーのためのガイドの役割は終わったということでしょうか。「終わった」というより、「変わった」というべきでしょうか。
作り手と読者(利用者)、30年で求めるものが変わってきたこと、そして我々を取り巻く状況も変わってきたこと。『歩き方』の内容に影響を与えるのはしかたありません。
『歩き方』の一時期の総括として、この本が創刊30周年の記録として、今、出版された意味はあると思います。インタビューから浮かび上がる創刊当時から現在まで、試行錯誤して作り続けてきた関係者たちの様子が、臨場感をもって伝わってきます。バックパッカー文化を知りたい人にお勧めの本です。
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コメント
旅のマニュアル化について、批判もされました。
初めて行くところに関しては役立ちますが、深く知ろうとすると、やっぱり他の文献や本に頼らざるをえない、というのが現実です。
投稿: あおやぎ | 2010/01/14 23:56
わたしも外国旅行の前には一応
買いました。でも基本が川の上なので
出発前に食料を買うぐらいで大きな問題は
なかったです。川下りのガイドブックは現地
ガイドから購入しました(カナダユーコン川)
バックパッカーからは良くも悪くも評価される
本でした。
総括本見かけたら手に取ってみようと思います。
投稿: SCHOP | 2010/01/11 19:42