今さらですが、映画 『アバター』を観て
映画館では観なかったので、DVDでようやく鑑賞しました。今さら『アバター』について語るのも、「時代遅れ」なのかもしれませんが。
感想は、大きく分けて3つあります。
1: 娯楽映画としてはすばらしい。
2: 『もののけ姫』と似ている。
3: 先住民と侵略者たちの構図は、未来でも同じ。
1:については、圧倒的な映像美と、迫力。文句なく楽しませてくれる映画です。「セカンドライフ」も、このくらいの体験ができればもっと面白いのですが。(「セカンドライフ」は、場所によっては閑散としていて、人類滅亡後の地球に取り残されたような孤独を感じることがあります)
2:については、去年の末、来日したキャメロン監督はインタビューの中で、「人間と自然界との関係性をテーマにした映画が作りたかった」「ミヤザキの新作は必ず見ているよ。実は映画の最後に『もののけ姫』にオマージュをささげたシーンがあるんだ」と話しています。『もののけ姫』では「シシ神」、『アバター』では「エイワ」という自然界の調和を司る存在が語られています。
なので、似ていて当然だったのです。ただ、物語としては、『もののけ姫』よりも単純化されています。(「善悪」がはっきりし過ぎています。単純化されていないと受けないからでしょうが)
そして空に浮かぶ岩山は、『天空の城ラピュタ』を思わせました。全体として宮崎ワールドの影響は強く感じます。
3:について。
まぁ映画なのだから、腹を立ててもしかたないのですが、相変わらずだなぁ、未来になっても欧米的発想は何も進歩してないんだなぁと思いました。
そもそもアバターを使おうというのは、先住民ナヴィの姿に似せて、溶け込もうとするところから出た作戦でした。まぁそこまではいいでしょう。ただ、欧米人的発想だなぁと思うのは、彼らは、ナヴィに英語を教えるのです。それは会社の責任者がいうように、ナヴィを「木の上で暮らす青猿」だと見下し(完全に上から目線ですね)、英語で「教育」しているつもりなのです。
「教育しても、彼らは生き方を変えない」と、会社の責任者はいらだちます。そして言うことを聞かないから武力に訴えるというところも同じです。
今までさんざん地球上で同じことを繰り返してきたはずなのに、まったく学習してないんだな、この会社の人たちは。
キャメロン監督は、皮肉を込めて、「こりない人間」のおろかさを描いているのでしょう。
自分の価値観が絶対で、他人の価値観を認めない。まさにアメリカが世界から嫌われたのは(とくにイスラム諸国から)この価値観の押し付けなのです。実際の未来では、こんなことはやってないと期待したいですね。
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