「犬旅写真」について (2)
写真家ばかりではありませんが、芸術家やアーティストと呼ばれる人たちの仕事のひとつは、「新しい美」を見つけることです。
「新しい美」とは、「新しい価値」と言い換えてもいいでしょう。
今まで誰も気がつかなかった価値、それを、写真家なら写真を使って切り取って見せる、ということです。音楽家なら音を切り取って聴かせることです。小説家なら、話を語ることで気がつかせるのです。
いったんみんなが気づいてしまえば、「なんだぁ」と思えるくらい簡単なことです(と、思います)。でも、口で言うのは簡単ですが、なかなか難しい。難しいというより、辛い。
新しい価値を見つけるのは、見通しの悪い山道を歩くのと似ています。
歩いてきた山道を振り返ったとき、どこに何があったか、どんな風景だったかは、もちろんわかるわけですが、これから進む方は、何があるかわからない。何があるかわからないけど、もしかしたら、すばらしい風景に出会えるかもしれない、崖崩れで通行止めかもしれない、という期待と不安。
でも、それでも、行きたいと思えるかどうか。きれいな風景は見たんだから、そこまででもういいだろうと満足するかどうか。進むのか、引き返すのか。
そこで「犬旅写真」。
先はまったくわかりません。すばらしい風景に出会えるのか、それとも何もないのか、それどころか崖崩れで死んでしまうのか・・・。
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