『逝きし世の面影』。世界的には「犬には石を投げつける」のが常識?
『逝きし世の面影』。犬について調べていてたどり着いた本の一冊です。
なかなか面白い本です。
江戸時代の江戸の街と外国人たちの様子。江戸は当時は世界最大の都市。ただし、田舎と都市の境がわからないくらい街には自然が多かった。そこにはまた特定の飼主のいない犬が、我が物顔でのさばっていたようです。
でも、そんな犬が嫌われていたかというとそんなことはなくて、道に寝そべる犬様たちを、遠慮がちに避けて通るのは人間の方だったようで。
だから欧米人には、日本の犬も馬も「甘やかされている」と映っていたらしい。「人間が一番偉い」と考える欧米人からすれば、日本の犬も馬も、ちゃんとしつけされていない、「ダメな家畜」ということになるのでしょうか。
ところで、俺は中国で犬に咬まれてからは、中国で犬を撃退する方法として、石を投げる(当てなくてもいい。そして石がない場合は拾う真似をする)ということで対処していましたが、日本の犬には効き目がありません。
『逝きし世の面影』にもありました。明治時代、大森貝塚を発見したモースもこう書いているそうです。
「先日の朝、私は窓の下にいる犬に石をぶつけた。犬は自分の横を過ぎてゆく石を見ただけで、恐怖の念はさらに示さなかった。そこでもう一つ石を投げると、今度は脚の間を抜けたが、それでも犬はただ不思議そうに石を見るだけで、平気な顔をしていた。・・・(略)・・・私は子どもの時から、犬というものは、人間が石を拾う動作をしただけでも後じさりをするか、逃出すかするということを見て来た。日本人は猫や犬が顔を出しさえすれば石をぶつけたりしないのである」
モースは当時の日本人の犬に対する姿に驚いているわけですね。とすると、世界的には、「犬には石を投げつける」のが常識だったのでしょうか。
もっとも、当時は人間さえ動物扱いした人たちが、「犬や馬を甘やかしている」と思うのは、当然といえば当然のことだったかもしれませんが。奴隷解放と動物保護の考え方が起こってきたのは同じ時期だったようです。
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