どうして「余裕のある者」がもっと物を独占しようとするんでしょうか。
友人のフランス人が日本脱出しました。
一番の理由は、東電や日本政府の情報に不信感を持っているからというものです。彼らの行動が、過剰なものだとは思いません。「外国」にいたらお互い様です。
俺だってフランス滞在中同じ問題が起こったら同じように脱出を考えるかもしれないし、実際ベトナムで数年前SARSが流行ったときや、マダガスカルでチクングンヤ熱が流行ったときは、なるべく早く出ることを考えました。
でも、これはあくまでも外国人の話。「危険情報」に過剰反応するのはどうかと思います。
今、一部の人たちの買占めが問題になっています。
直接の被災者でないなら、動揺せず普通の生活をたんたんと続けたい。とはいえ、今、普通に買い物に行っても物が買えないという状況があります。普通にやりたくてもやれない状況です。普通に買い物へ行っても、なんとなく後ろめたさも感じてしまいます。
被災者ならしかたありません。それが死活問題にかかわるなら。でも、どうして「余裕のある者」がもっと物を独占しようとするんでしょうか。買占めそのものがストレス発散だという人もいるそうですが。
そこで「買占め」について思い出すことがあります。
昔、中国の四川省をバスで旅行していたときです。大雨で土砂崩れがおき、バスが立ち往生したことがあります。2、3時間経っても復旧工事は始まらず、これは1日、2日かかるんじゃないかと悲観的な雰囲気が生まれました。
それで乗客たちはバスを降りて、近くの村の売店に行き、食べ物の買占めが始まりました。俺は言葉の問題もあり、そこまで気がまわらず、出遅れてしまい、何も買えなかったのでした。村の売店なんてたかが知れているので、商品棚から、すべての食品がなくなってしまいました。
食べ物がないとわかると、とたんに腹が減ってきて、どうなってしまうんだろうと不安になってきました。さっきまで何ともなかったのに。
そもそもお金のない貧しい人たちは、バスを降りずに、ずっとバスで寝ていました。もう俺もなるべく動かないことにして寝ていました。
すると、程なくして道路が開通し、車の列が動き始めたのでした。今まで食べ物をたくさん抱えた人がうらやましく思えたのに、バスが動き始めたとたん、とてもこっけいに見えてきました。
食べ物を買い占めた人たちは、その食べ物の置き場に困って、しかたないので、みんなに配りはじめました。俺ももらいました。結果的に、みんながただでお菓子を食べることができてハッピーだったのですが。
結局、「余裕のある人」が、もっと欲しくなって買占めが始まったのです。欲が欲を呼ぶということでしょうか。言葉ができない外国人や、貧しくて余裕のない人は、買占めする発想がないんだなぁと知ったのです。
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