上野恩賜公園の今年の花見は? 弔いの花見
震災以来、茨城県で関連会社の復旧作業を手伝っていた友人と久しぶりで会うことになったので、どうせなら、今年の花見の様子を知りたかったので、上野に出ました。
上野恩賜公園は7~8分咲きといったところでしょうか、花見としてはいい時期でした。予想通りというか、意外というか、花見はちゃんと行われていました。もちろん例年よりは人出は少ないようです。そして看板が立っていました。
「恩賜公園での宴会につきましては自粛のご協力をお願いいたします」
ただこの看板は目に付いたのは2枚だけで、ほとんど目だたず、とりあえず置いたという感じがしました。まぁ、これならもしクレームが来ても公園側は、「自粛を促していた」という言い訳がたつし、賢いやり方かもしれません。
でも、こんな看板いらないのではないかなと思いました。実際騒いでいる人たちは皆無だったし、みんな状況はわかっているのです。何もこの美しい桜を愛でる習慣を例年通りやったからといって、被災者の人たちが怒るとも思えません。
片方では大惨事が現在進行形で続き、片方では淡い桜の下で酒を酌み交わす。一見平和な光景に見える花見ですが、話題は自然と地震や原発になります。まるでビール缶の触れる音が「献盃」にも聞こえます。けっして暗い感じでないのは桜の下だからでしょうか。
穏やかな顔をしている人たちを見るうち、なんだか日本人は、太古の昔からこうやって桜の下でドンちゃん騒ぎをするだけではなくて、死者の弔いを何度も重ねてきた民族でもあったような気がします。
誤解を恐れずに言えば、地震・津波も自然、桜も自然。同じ自然を受け入れてきたのが日本人です。自然は美しく優しいだけではありません。時には厳しく残酷です。いや、自然そのものは、優しくも、厳しくもありません。人間がそう感じるかどうかだけです。
みんなの顔には、あらためて自然を受け入れたような謙虚さが表れているようでした。(被災した人は納得できないとは思いますが) 俺の思い込みでしょうか? まぁ、それならそれでけっこうです。とにかく、うるさい音楽も宴会もない、今日は弔いのいい花見でした。
ところで、上野動物園では、パンダ焼きの店に行列ができていました。中年オヤジふたりしてパンダ見るという図は美しくないので、パンダを見るのは「自粛」しました。
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