東日本大震災の現場 (12) 気仙沼 大川の桜並木
今日(2011年5月12日)発売の「週刊新潮」5月19日号の後ろのグラビアに、津波の被害に遭った桜の写真が掲載されています。
海の中から咲いている桜を見つけたときは驚きでした。ただ、隣の桜は塩水で死んでいたりするので、咲いているのは、やっぱり特別強い桜なのでしょう。「意地でも咲いてやる」といった強さや勇気、「津波なんてへっちゃらさ」と言っているような、ひょうひょうとした姿の桜が、「被災地の今」を象徴していると思いました。青空を背景にした桜がなんともたのもしいのです。
この桜を見つけたのは、陸前高田へ行った4月26日です。雑誌の取材のために、津波に耐えた「希望の松」を撮影したあと、瓦礫の集積場の裏側を歩いていたら、海に立っている桜の木を見つけたのです。
まだ桜は満開ではなかったので、2日後再び訪れました。ところが、やっぱり塩水の影響なのでしょうか、本来の桜の「満開」という咲き方にはなりませんでした。それでも咲いているだけですごい桜ではあります。
海の上で咲いている桜は陸前高田だけではありませんでした。2本目は石巻市雄勝町水浜で見つけました。こちらは完全に海水から枝を出して花を咲かせていました。
「週刊新潮」には、気仙沼市内を流れる大川の桜も掲載されています。
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上に掲載の写真は4月25日、気仙沼大川の桜並木。
大川の土手は、見事な桜並木だった。本来ならちょうど花見で混雑していたのだろう。昨年は「気仙沼大川さくらまつり」というイベントが行われた。
でも、今年はほとんど誰も見向きもしない。当然だ。桜どころではない。生活をなんとか立て直さなければならない。避難所暮らしの人も多い。だから俺がこの特別の桜を記録しておく意味はあるのかもしれない。何年か後のために。
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コメント
Mr.SCHOPさん
TKOさん
塩水を被っていますが、この大川の桜並木は復活するような気がします。
一部は流されてしまったそうですが、残った桜はきっと。「津波桜」ばかりではなく、意外と桜が強いことを各地で証明しています。
そして被災した人たちも、来年は、なんとか花見ができるような余裕ができるようになることを祈っています。
投稿: あおやぎ | 2011/05/12 22:45
桜どころではないのは事実だと思いますが、咲いているのといないのでは被災者の気持ちも随分違うと思います。少しでも早く、昔のように花見ができる日が来ることを祈ってます。
投稿: TKO | 2011/05/12 22:13
埼玉県西部、こちらの桜が散った時に
東北に桜が向かったんだと思いました。
こうして東北の桜を見るとあまりの景色に
胸がつまりました。考えは間違ってはいない
けど認識が甘過ぎました。
投稿: Mr.SCHOP | 2011/05/12 21:28