「被災松送り火 “不安の声”で中止」 ひどすぎる話(と、最初は思っていたのですが) 続報8月15日
被災松送り火 “不安の声”で中止( NHK NEWS WEB http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110807/k10014754081000.html )
陸前高田の7万本あった「高田松原」の松の木を使ったまきに、被災した人の、亡くなった人への供養、復興への誓いなどの意味を込めたものを書いて、京都の「大文字五山の送り火」のときにいっしょに燃やすという計画でした。
ところが、その計画に対して、なんと「放射能が不安だから」というクレームが数十人から寄せられて、この計画を中止したというのです。
まず、この「放射能」に関してですが、ちゃんと調べて問題なかったのです。だいたいにして400本の木切れですよ。そんな微量を燃やしたところでどうだっていうんでしょうか。京都の空気が、そんなにきれいだと思っているんでしょうか。
まぁ、「安全」といわれても「不安」がなくならないというのは、この5ヶ月で俺たちも体験してきているので、クレーマーの気持ちがわからないではありません。
そこまで反対するなら、実名でクレーム出すくらいはしてほしい。匿名のクレーマーもいるんでしょ。
そしてまた、クレームを受けた市役所や保存会の人も、クレーマーを説得できないというのが、また今の日本の放射能を巡る状況そのものです。
でも、この過剰反応する、わずか数十人のクレーマーのせいで、中止になってしまうというのは、どう考えても理不尽です。被災した人の悲しみはどれほど大きいでしょうか。いわれのないことで拒否されるわけですから。中止になっても、陸前高田の人たちは、怒るどころか、「しかたないです」といって諦めているのが、また悲しい。
「福島」「東北」(陸前高田は原発から190kmも離れています)というだけで「放射能の心配」とは、ほんとにひどい話です。
そのうち、「犬と東北人、お断り」なんていう看板出てくるんじゃないかと思うくらいです。
このクレーマーのせいで、京都市民のイメージさえ悪くなってしまいます。京都市民自身で、この問題に対して自浄能力を発揮してほしい。このクレーマーは特殊な人たちだと思いたいですね。
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この件に関して続報です。(8月9日)
2011年8月9日付け「毎日新聞」によると、
「京都市によると、中止決定以来、約250件の電話やメールがあり、大半が中止を批判する声だったという。」
やはり、たいていの京都市民はちゃんとわかっている人たちだったようです。安心しました。
そろそろ「クレームするが勝ち」みたいな、「クレーム天国」から抜け出してほしいですね。こういった馬鹿げたクレーマーに対抗する勇気が必要なときかもしれません。
ただ、クレーマーと対決するには、自信を持ってなくては。「もしかしたら、ほんとに放射能が・・・」などというような自信のなさを見透かされるとダメなんでしょうね。
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またまた続報です。(8月10日)
中止反対のクレームが多数寄せられたことで、あらためて高田松原で作ったまきを京都で燃やすそうです。それに意味があるのかどうかわかりません。被災者の思いを込めたまきは、すでに陸前高田で送り火として燃やされてしまいました。いまさら、まきだけを燃やしてもねぇ。
これだけの騒ぎになるとは俺も思っていなかったので、自分で書いておいて言うのもへんですが、京都バッシングもエスカレートしないほうがいいんじゃないかなと思います。
こうなると、クレーム合戦ですね。なんだか送り火で拒否された問題よりも、だんだんこの「クレーム天国」の問題のほうが気になってきました。
どれだけ声がでかいかで、何でも決まっていくことの不思議と、怖さ。
「燃やさなくて良かった」という声もあったそうですが、今度はその少数意見は無視するんですね。「不安」は解消されたんでしょうか。不安ならやらなくていいでしょうに。これも逆に「クレーム被害」といえるんじゃないでしょうか。
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また続報です。(8月13日)
大文字のまきから放射性物質が検出されて、京都市が今後の対応を検討した結果、16日の送り火で燃やすことを中止したということです。
だから「不安ならやらなくていいでしょう」といったんです。「それみたことか」と鬼の首でも取ったような燃やすことに反対していた人は、また自分たちの主張を強めるに違いありません。
一番最初も不検出だったにもかかわらず、数百本のまきでも「不浄観」を抱いていた、だから最初に反対意見が出たわけでしょ。
これで東北のものに対する不浄観がどういうものか、思いしらされました。実際検出されたんだから、なおさらです。微量でもダメなんです。「ゼロ」でなければ。いや「マイナス」でなければ。京都人(燃やすことに反対している人たち)はケガレを感じるのでしょう。
だから「京都の木」は絶対検査しないと思います。海に垂らすスポイトの1滴のような微量でもケガレを感じるでしょうから。そして京都の空気が、ケガレ・ゼロだと信じているでしょうから。
これによって東北に対する不浄観が増すのは悲しいことです。
それにしても被災者も、こんなことに翻弄されて不幸というほかありません。
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陸前高田の松についての続報です。(8月14日)
NHK NEWS によれば、
「新勝寺は、陸前高田市から発送する前に、松の皮を削れば心配はないとして、予定どおり9月に護摩の木と一緒にたくことになりました。」
成田山新勝寺は冷静な判断をしました。成田山新勝寺は大人だなぁという印象を持ちます。
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この問題の経緯をまとめたホームページがこちら。(8月15日)
「京都府と岩手県陸前高田の送り火偏向報道問題まとめwiki」
http://www14.atwiki.jp/kyoto-henkouhoudou/
「この経緯説明は、・・・(略)・・・陸前高田の人々の犠牲者への供養の思いと、京都大文字送り火保存会の先祖供養の思いと伝統、これらを軽はずみに結びつけ、杜撰な計画の元に強引に推し進められた企画の推移と、それを綿密な取材をしないまま美談として報道し、騒動後は京都バッシングのみを繰り返すマスコミの偏向報道を紹介するものである」
俺自身も今回マスコミ報道にあおられた反省がありますが、とにかく、「敵・味方」を作りやすい、単純化してしまうという問題は、今回のことだけではなくて、いろんなところにあるということです。
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コメント
リスナーさん
コメントありがとうございます。
どういった人たちがクレームを出しているのかわかりませんが、悲しい話ですね。
中止が決まって、陸前高田の人が怒るんじゃなくて、諦めたというのは、すごく象徴的な感じがします。
こういうクレーマーとまともに話し合っても無駄な気がします。そういう意味で、陸前高田の人たちは賢明だったかもしれません。
クレーマーに抗議するなどと、くだらないことにエネルギーを使うより、やらなければならないことはたくさんあるだろうし。
投稿: あおやぎ | 2011/08/08 11:39
過剰反応と情報不足の人が多くて困りますよね。
未だにテレビでしか情報を得られない人が多いようで…。
どうしたらこの現状が変わるんでしょうかね。
投稿: リスナー | 2011/08/08 11:10