2011年、秋の旅 (15) 新潟県 木地屋民俗資料館
長野との県境、新潟県糸魚川市の山の中に、かつて木地屋の住む里がありました。
今、村には1軒、そば屋兼売店「栃の木」がありますが、ここの女将さんのお父さんの代まで木地屋をやっていたといいます。最後の木地屋が作ったという大きな鉢が店内中央に飾ってありました。
昔は良材を求めて、地方の山々を渡り歩いていたといいます。そして彼女たちの先祖がここに定住しました。
店の隣には、女将さんが実際に住んでいたかつての住居が移築され、「木地屋民俗資料館」として公開され、木地屋独特の道具類、古文書類の資料が展示されています。(入館料は300円)
ところで「木地屋」とは、白木のままの椀や盆などの器物を作る職人のこと。漆を塗る「漆師屋」とは分業していました。
「しかしここの木地屋は明治時代に漆塗りの技術を導入し、原木の伐採から金蒔絵をほどこした漆器椀までをわずか9戸で分業して行うという全国的にも珍しい生産体制をとっていました。こうして作られた漆器類は「椀講」という独特の販売システムで信州安曇野から糸魚川西頚城郡内一円に販売されていましたが、昭和十年代前半伝統の技に終止符を打ちました」と資料館の説明書きにあります。
木地屋は廃れてしまいましたが、こういった生業が成立できていた昔の山の豊かに思いをはせます。
| 固定リンク
コメント