TPPへ突き進む日本には、GNH (国民総幸福量)を大切にするブータンの良さは見えない、いや、見たくない
TPPの問題が大きく取り上げられているとき、国賓としてブータン国王夫妻が日本に来たことに、運命的なものを感じていますが、それは俺だけでしょうか。
「TPP」と「ブータン」を関連付けて話をするマスコミや文化人がそれほど多くないことが不思議です。
せっかくブータンが話題になっているんだから、もっと「日本人にとっての幸福とはなんだ?」ということを考えるきっかけにしたらいいと思うのに。
ブータンといえば、GNH (国民総幸福量)を大切に国作りをしていることで有名です。
「GNH (国民総幸福量)」を大切にするブータンという国(2011/11/16)
GNHを褒め称えてはいますが、しょせん他人事だと思っているからでしょうか。日本には関係ない。GNHよりGNPだと。「幸福度」より「経済」だと。
アジアのどこかの弱小国の王様が来ているぞ、という程度なのかもしれません。GNPから見たら、無視できる規模です。礼を失しない程度におもてなしすればいい。トラブルなく帰っていただきたい。そんな感じかな。
でも、俺はこのGNHを提唱したブータンという国に興味があるし、これからの「人間の幸福」を考える上で、世界に一石を投じていると思っています。(GNHに批判的な人もいますが、100パーセント完璧なものなんかない)
だから、もったいないのです。ブータン国王がイケメンだとか、妃が銀座のユニクロでヒートテックのインナーを買ったとか、そんな表面的な話題だけをニュースにしていることに「バカじゃないの? もっと報道の仕方があるだろうに」と言いたくなってきます。
今年、東日本大震災がありました。この出来事で、今まで「普通」であった生活が、実は、とても尊いものであったことを教えられました。「普通」であることがどれだけ幸せだったかということです。でも俺たちは「普通」を手に入れるために、とても「危険なもの」を陰で引き受けていたということも知らされました。「普通」だと思っていたことが、実はぜんぜん「普通」ではなかったのです。
「幸福」についての考え方が、大きく変ったはずです。「反・脱・減原発」「節電」も叫ばれるようになりました。意外と電気が少なくてもやっていけることもわかりました。節電したことで、かえって良かった面さえあることに気がつきました。俺たちは「電気を多く使う」ことが「幸福」であると思い込んできた、思い込まされてきた、そうとも言えるわけです。
これはブータンのGNHの考え方と共通するものがあるのではないでしょうか。その共通点をもっと考えていくことが、日本の幸福にも繋がっていく、そう思うんですが。
ブータン国王の来日という、せっかくの機会を生かせない日本。
しょせんTPPに突き進んで、経済優先の国作りに励む人間には、ブータンの良さなんて見えるはずもないんでしょう。
見たくもないんでしょうけどね。
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