イタリア映画 『イラクの煙』を観て
【ネタバレ注意】
イラク戦争を題材にしたイタリア映画 『イラクの煙』。原題は『20 sigarette』。「20本のタバコ」です。
これは監督自身が、イタリア軍の平和維持活動取材中に体験した強烈なエピソードを映画化したものだそうです。
監督:アウレリアーノ・アマデイ
原案/脚本:アウレリアーノ・アマデイ
キャスト:ヴィニチオ・マルキオーニ
カロリーナ・クレセンティ
ジョルジオ・コランゲーリ
内容を知らずに観始めましたが、最初、ちゃらちゃらしたイタリア男の戦場を舞台にしたコメディかな?と思うくらいで、「あっ、失敗したかなぁ」と、観るのをやめようかとさえ思ったくらいでした。
ところが、しばらくすると、この作品の悲惨さを表現するための伏線であったことに気がつくことになるのです。
主人公はイラクでテロに巻き込まれます。そのシーンがすごかった。
トラックがイタリア軍の駐屯地に突っ込んで爆発します。カメラは、主人公が持っているという設定なので、爆風で飛ばされて、地面が映ります。
画面には一瞬血だらけになった自分の足も映ります。テロリストに応戦するイタリア軍兵士の、必死の抵抗が、主人公の荒い息遣いとともに記録されていきます。
この臨場感。体験した監督だから描けるシーンだったのでしょう。
一命は取り留めますが、帰国してから、彼はマスコミの注目を浴びます。
この件で、戦争や生きることについて考えます。時間が経っても、どうしても忘れられない出来事があったのです。それは病院にトラックの荷台で運ばれるとき、いっしょに乗せられた地元の少年が、彼の腕の中で死んでしまったことでした。
同胞であるはずのイラクの少年を巻き添えにするテロ行為に対する怒り。現場で起きていることに鈍感な、イタリアや西側諸国の高官たちや、騒ぎ立てるマスコミに対する苛立ち。
そんな思いが渦巻く主人公の心の中を垣間見たような気がします。
意外と(?)いい映画でした。お勧めです。
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コメント
schopさん
先入観ナシで(この場合は映画そのものを知らなかったのですが)見たとき、いい映画に出会うと幸せな気分になります。
投稿: あおやぎ | 2011/12/10 23:50
青柳さんの琴線に触れたんですね。
僕は此の手の映画は苦手かもしれません。
ディアハンターも本当に悲しくていけません。
投稿: schop@公園ねこ集会 | 2011/12/10 12:50