東日本大震災の現場 (43) 岩手県山田町 「鎮魂と希望の鐘」の下にあった被災桜
(写真は上から、山田湾を望む仮設住宅の桜、「鎮魂と希望の鐘」の被災桜と飯岡さん、カキ小屋)
山田湾の国道45号線から60mほど入った場所に「御蔵の湯」というのがありました。昔は、図書館や中央公民館があった場所に、町が、町民やボランティアのために無料の温泉施設を作り、2011年12月26日オープンしたものです。小さいけれど露天風呂まであります。
その同じ敷地に「鎮魂と希望の鐘」があります。その鐘の下にりっぱな桜が立っていました。津波が2mくらいの高さまで被った被災桜です。勢いよく咲いている花に力強さを感じます。
スーパー「びはん」の駐車場の隣に一軒の畳屋さんがありました。ここは自宅。以前の店は流され、機械も新しく買い直し、去年5月2日に早々と店を再開したそうです。ただ、そのときまだこのあたりには自衛隊しかいない状態で、住民はまだ少なかった。スーパー「びはん」が仮店舗で営業したのが最初。だからこの畳屋さんは2店め。開店が早かったので、いろいろとマスコミの取材も多かったらしい。
店主は飯岡さんといいます。話しているとこちらまで元気になってくるような人で、ぜひ、あの被災桜といっしょに写真を撮りたいと思ったので、わざわざ仕事を中断してモデルになってもらいました。これだけ「撮りたい」と思うような人に出会うのは珍しいことです。
山田湾もカキやホタテの養殖が盛んです。今、新しい黄色いブイ(浮き球)がたくさん浮かんでいます。まだ収穫できるのはまだ先ですが。
山田湾の「カキ小屋」は4年前に始まりましたが、去年の津波で流され、場所を移動して新装開店の運びになりました。2500円で蒸しカキ食べ放題。季節によって、カキではなくて、他の海鮮になるそうです。
津波は災害ですが、悪いことばかりでもないのだという。将来の海を考えるなら(長期的にみれば)、海がかき回されることは、いいことでもあるとのこと。意外な話です。もちろん、これは津波自体のことでしょうが。津波によって人が亡くなったり家が流されたりすることは悲劇に違いありません。
同席した3人組の青年たちは、去年の夏、沿岸部10ヶ所で花火を打ち上げたプロジェクトのスタッフ。挨拶周りをしているのだという。たしかニュースで聞いた気がします。今年もやるんですね。
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