東日本大震災の現場 (42) 岩手県大船渡市三陸町 「仲良倶楽部」のお花見
大船渡を出て、峠を下った三陸町越喜来に4本ほどりっぱな桜があったので、降りてみました。すると、桜の下で10数人が花見をしていて、手招きされました。
地元に残った同級生が主体となって地域で何かやろうと集まった仲間「仲良倶楽部」です。14年の歴史を持つそうです。
震災前はこの2倍のメンバーが集まっていました。震災後は少なくなりましたが、なんとかこの繋がりだけは維持しようと花見を行ったそうです。
「仲良倶楽部」では5年前に公園を作ろうと桜を10本買って「仲良桜」と名づけて植えました。3年後に花が咲き、これからは花見ができると楽しみにしていたのに、1年前の津波ですべての桜が失われてしまいました。でもいつかはまた桜を植えたいそうです。
こういうときだからこそ、地元に根ざした若者たちが、地域の復興を先導していくんだろうなと感じました。車じゃなかったらいっしょにお酒を飲みたかった。(コーラをご馳走になりましたが) 心に訴えてくる何か熱いものを持っている人たちでした。
満開の桜の下で記念写真。
ほろ酔い気味の会長さんが、ふと俺の耳元で言った言葉にハッとしました。
「俺たちはちゃんとやってますよ。もう悲惨な報道はいらないよ」
昔、「同情するなら金をくれ」という名セリフがありました。
その通りなのです。被災者に対しての同情は、むしろ失礼なのかもしれないと思えるほど、今の彼らの生活は「普通」なのです。楽しいこともあり、苦しいこともあり、問題もあり、うれしい出来事もあります。
会長さんの言葉には、「被災者」=「不幸」という目で見る人たちに対して、「それなら、被災してないあなたは幸福なのですか?」と逆に聞かれているような気がしたのでした。
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