東日本大震災の現場 (37) 宮城県気仙沼市 大川さくらまつり
去年、震災の1ヶ月半後、4月下旬に訪れたとき、気仙沼市大川の桜並木は瓦礫の中で満開の花を咲かせていました。塩水を被っても元気に花を咲かせていたのが印象的でした。もちろん祭りはなく、花見をする人もいませんでしたが。
そして今年、再び訪ねてみましたが様子がへんです。7割以上は花を咲かせていないし、咲いていても、花が少なく、緑の葉がすでに目立つような状態でした。
まだ咲き始めなのだろうか?と思って、地元の人に聞いたら、
「たぶんもう咲かないでしょうね。枯れてしまったのではないでしょうか」
やはりあの津波の影響は大きかった。ほとんどは塩水と重油を被っていて、火災で焼けた桜の木もあったらしい。
こんな中、今年も4月22日から29日まで、「大川さくらまつり」が行われました。
女の子ふたり、並木を楽しそうに歩いてきたので写真を撮らせてもらいました。話を聞いたら地元出身の人たちで、
「桜並木が切られるかもしれないというニュースを聞いてやってきました」
とのこと。
祭りのスタッフにも話を聞きました。
「このお花見も今年で最後かもしれません」
という。このあたり一帯を数メートル嵩上げする計画があり、当然堤防も嵩上げされることになると、桜並木は切られることになります。だから今年最後・・・・。
あらためてこのまばらな花の桜並木を見ると、妙にいとおしく感じてきます。
「まだわかりませんよ。切られるかどうか。決まったわけじゃないんだから」
と、ムッとした表情で言う地元のおじいさんもいました。桜並木がなくなるかもしれない悔しさがにじみ出ていました。
今までみんなを楽しませてくれた桜並木の最後を看取ってやることは、桜並木に対しての恩返しでもあるのかもしれません。
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