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2012/08/29

アレクサンドラ ・ホロウィッツ著『犬から見た世界』  ぐうたら犬に学ぶ

120829

毎日暑い日が続きます。

ヴィーノは、床に寝転がって「ぐうたら犬」です。いや、ほんとはどうなのでしょうか? ただ横になっているだけなのでしょうか?

アレクサンドラ・ホロウィッツの『犬から見た世界―その目で耳で鼻で感じていること』という本を読みました。新聞に書評が載っていたので期待して読んだのですが・・・。

アマゾンの「BOOK著者紹介情報」によると、著者であるアレクサンドラ ホロウィッツ氏は、「現在、コロンビア大学バーナード・カレッジで心理学の非常勤助教授として教えながら犬の行動学の研究を続け、さらに、人間、サイ、ボノボにおける認知行動学の研究へと範囲を広げている。」とあります。

正直言うと、最後まで読むことはできなくて、3/4くらいで挫折しました。翻訳本なので文章が読みづらいというのはしかたないとして、内容にあまり新しい発見がなかったからです。今まで読んだ犬の本の内容を大幅に超える衝撃はありませんでした。自分の読解力の無さが原因かもしれませんが。

まぁそれでも、犬が生きている匂いの世界について考えるきっかけになったことは言うまでもありません。

犬が匂いで世界を見ているという話は、前から興味を持っていたことです。

匂いで見る世界ってどんな感じなのだろう?

以前「犬のような嗅覚を持つ女刑事 『デカワンコ』(2011/01/20)」でも書きましたが、もう一度書きます。

オリヴァー・サックス著『妻を帽子と間違えた男』には、麻薬を大量に服用して犬の夢を見て目覚めたとき、犬並みに嗅覚が鋭くなっていた医学生の話が出てきます。まるでカフカの『変身』のようなことが起こるのです。原因ははっきりしないらしいのですが(麻薬による幻嗅ではないのか?とも思うのですが)、抑制が外れて、もともと持っていた能力が使えるようになったということらしい。

三週間後、感覚は元に戻ってしまったが、「芳香あふれる世界があまりにも生き生きとしていてリアルだったので、まるで別世界へ旅をしているようでした。もう一度犬になれたらなあ、と思います」といっています。

ちょっとうらやましくもあります。

「俺が自分で見たんだから絶対だ」といいますが、それは人間が識別できる可視光線の範囲内だけの話で、見えないところにも現実はあるわけです。音に関してもそうだし、匂いに関してもそうです。動物学的に見れば、人間なんて、ほんとに能力が劣る、弱い腫と言っていいのかもしれません。だからこそ「脳」を発達させてきたのでしょう。生き残るために。

ヴィーノは、暑くて寝転がったままです。じっと動きません。一見「ぐうたら犬」です。でもよく観察してみると、鼻がたえず動いています。匂いを嗅いでいるのです。周辺の情報をキャッチし、「見回している」のです。

俺のことを、「こいつは暑くていらいらしているな」とか「さっき食べたばかりなのにもう腹すかせているな」とか、そういう情報も匂いで知っている可能性があります。

匂いの粒子はかなり離れていても漂ってきます。守備範囲は広いのです。俺たちが目で見る範囲以上のところの情報も匂いで知っています。極端に言えば、犬にとっては見えてなくてもいいのです。それほどの障害ではありません。

体が動いていないから「ぐうたら犬」と思ってしまうのは視覚を重視する俺たち人間の発想です。犬にとっては違っています。むしろこのクソ暑い中、エネルギーを使わず、動かずにいることは「ぐうたら」というより、むしろ「賢い」ことなのでしょう。

匂いの世界でぐうたらしているのは、むしろ人間のほうなのかもしれません。


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