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2012/08/09

サウジアラビアからオリンピック初参加の女子選手たちをめぐって

120809_2

今回オリンピックで注目していたサウジアラビア初参加の女子参加選手たち。(「シリア、サウジアラビア、ブルネイ、カタールの女性選手たち」(2012/07/29)

柔道女子78キロ超級に出場した16歳のウォジダン・シャハルハニ選手は、1回戦でプエルトリコの選手に、開始から1分22秒で敗れました。

Wojdan Shaherkani Judo Women's +78kg

サウジにとっても歴史的な出来事であったはずですが、彼女の出場に対して、サウジでは批判を受けているらしいのです。

ツイッターでは、勇気をたたえるコメントもある一方で、「貞節な女性とはとても言えない」、「反イスラムだ」と書き込まれるなど、かなり批判されているとのこと。

日本では考えられないことですが、女性に体育の授業がないとか、女性に車の運転も許さないとかいわれている保守的な国なので、女性が衆人の前で運動するなどもってのほかなのでしょう。

それに対して、ウォジダン・シャハルハニ選手の父親は、「娘の批判者をまとめて提訴する」と言っていて、すでに弁護士を雇ったそうです。たいへんな騒動になっています。

サウジからの参加女子選手、もうひとりのサラ・アッタール選手は、昨日の女子800m予選に出場しました。ちょうどテレビでやっていたので見ることができました。

Sarah Attar Athletics Women's 800m

このページのプロフィール写真が削除されています。2週間前は、ちゃんと顔写真が載っていたのに。ただし、そのときは、被り物をしていませんでした。それに対する批判があって、削除したのかもしれません。ウォジダン・シャハルハニ選手の件を考えれば、ありえる話ですね。それと生まれた場所も、サウジとなってますが、実際は、アメリカらしい(wiki)。これも何か裏事情がありそうです。

800mレースですが、先頭の選手が約2分01秒でゴールしたのですが、彼女は約2分45秒でゴール。彼女だけ他の選手たちから飛びぬけて遅かった。

でも競技場の雰囲気は暖かでした。彼女は全身を覆っているので(明るい色でおしゃれでした。さすがアメリカ育ち)すぐイスラム教徒の選手だとわかるし、たぶんサウジからの初めての女性選手だという事情を知っているらしいので、彼女の極端に遅いゴールも暖かい拍手で見守りました。

なんだか感動的ですね。

2選手とも、たいへんな事情を抱えながらの参加です。

ただ、サラ・アッタール選手はアメリカ生まれ、アメリカ育ちの大学生で、サウジとアメリカ、2つの国籍を持っています。だから厳密にはサウジからの参加選手というわけではないかもしれません。試合後アメリカに帰るので、仮に批判されても影響は少ないのではないでしょうか。ウォジダン・シャハルハニ選手とは事情が違っています。

なので、サウジの保守的な人にとってはウォジダン・シャハルハニ選手の参加というのが、より大きな問題なのだなぁと想像できます。

彼女は史上初めて参加した女子選手だとサウジの歴史にも刻まれるのでしょう。でも50年ほどたったとき、彼女は英雄になっているのか、それとも、まだ批判の対象になったままなのか。どっちなんでしょうか。

国民から応援もされないで参加することの辛さ。家族までもが批判にさらされるという環境。

実は「30日のサウジアラビアの地元紙によると、シャハルハニ選手の父は、娘がヒジャブを脱がなければならないのなら、競技には出場させないと断言していた(CNN)」そうです。結果的には被り物OKが出て参加できました。

この話から想像すると、父親は娘のことをかばうため、あえて地元新聞で「出場させない」と強気に断言して見せた、とも考えられます。批判をかわすためです。彼女は父親に柔道を習ってきたらしい。オリンピック出場は、親子の目標であったようです。

「参加することに意義がある」といわれますが、ほんとに彼女のような選手を見ると、そう思います。

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