平成25年(2013年)の「旧暦棚田ごよみ」 注文フォームができました
「田毎の月」というのをご存知でしょうか。
すべての田んぼの水に月が映る光景で、松尾芭蕉など俳人たちは優れた句に詠んでいます。また歌川広重は『六十余州名所図絵』の「信濃 更科 鏡臺山 田毎月」(嘉永六年八月)に、段々になった田んぼのすべてに月を描いています。
しかしどんなに田んぼの数が多くても、実際には月はひとつしか映りません。それなのにすべての田んぼに月が映るように思ってしまうことを、「非科学的だ」と言い切ってしまうのもなんだか味気ない気がします。
その瞬間は確かに月はひとつですが、あたりを歩いてみましょう。すると、月は次々に田んぼを移動していきます。結果的にすべての田んぼに月が映ることになります。
それともうひとつ。時間が経てば月が次々に田んぼを移動していきます。
それが「田毎の月」のイメージではないでしょうか。すべての田んぼに月が映るというイメージには自然を愛でる日本人の姿が見えてきます。田畑や山や川や空や月と身近に生活していた人々の姿も風景の中には含まれているようです。
現代人は、夜の田んぼを歩いたり、長時間月を眺めて過ごすなどということはなくなってしまいました。
時間も空間も区切りがちな現代人が忘れてしまった自然の愛で方がここにあります。月のドラマの全体(時間も空間も)を表現した「田毎の月」という言葉には、人間すら自然の一部になって生きていた日本人の、自然に対する強い愛着が感じられます。
旧暦は明治五年まで日本で使われていた太陰太陽暦で、月の満ち欠けの周期を一ヶ月とするもので、「棚田ごよみ」にも月の満ち欠けの絵が入っています。約千三百年もの間日本で使われてきた先人の知恵の詰まった暦なのです。
暦が私たちの生活に影響を与えるのは今も昔もかわりません。「棚田ごよみ」で、より自然を意識し、日々の暮らしの中で季節感を取り戻すきっかけにしていただければうれしく思います。
注文フォームはNPO棚田ネットワークのHPからどうぞ。
http://www.tanada.or.jp/tanadanetwork/goods/
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